2007年6月16日(土)「しんぶん赤旗」

山岳共済守ろう

労山が東京で集会・デモ


 「山岳共済を守ろう!」。日本勤労者山岳連盟(労山)は15日、東京都港区の青山公園で全国登山者集会を開き、大型ザックや登攀(とうはん)具を身に着けた登山者の声が都心に響きました。

 労山の山岳共済・遭難対策基金は、遭難救助の費用を援助し、登山者の安全教育にも役立ってきました。しかし、2006年4月に施行された新保険業法は非営利で特定の会員を対象とした自主的な共済制度を認めず、保険会社に委託するか会社組織にすることを迫っています。

 同連盟の斎藤義孝理事長は「なぜ、登山団体が金もうけの保険業をやらなければならないのか。納得できない。きょうはお上に物申す“登山者一揆”にしよう」とあいさつし、労山の山岳共済をはじめ自主共済制度を守るたたかいへ決意を述べました。集会には、22都道府県から約250人の山岳会員が駆けつけました。

 集会後は国会までデモ行進。先月、世界最高峰チョモランマ(エベレスト、8848メートル)に最高齢登頂を果たした労山会員の栁沢(やなぎさわ)勝輔さんも先頭に立ちました。デモには労山救助隊が“出動”し、そりに負傷者を乗せて搬出する救助活動を再現しました。登山者の集団は通りかかった人たちの注目を集め、説明を求める人や「国(の政治)は悪いからどんどんやって」と励ます男性もいました。

 同連盟が独自にデモをするのは47年の歴史で初めてのことです。


事故防いできた基金の活用

 「なくなっちゃ困る」―。登山者集会では遭難対策基金を守ろうという決意がみなぎりました。

 大阪労山の滝上肇副会長は同基金から出る安全対策への援助金の活用が遭難を減らしてきたと強調します。「40年の間に30人余が山で亡くなったが、始めの20年に集中している。中級登山学校でリーダーを養成するなどして、少なくなってきた。最後の最後まで頑張りたい」

 デモでけが人を乗せたそりを引いてアピールした香川労山の阿部哲也理事長は、地元の4自治体と協力して市民登山学校を開いています。「地域に根ざした登山文化の発展に役立ちたいと思ってやっている。もうけじゃない」

 「山岳共済は山屋の命」。使い込まれたピッケルでプラカードをつくった北海道道央連盟の加賀谷義治事務局長は「基金は月500円の会費でも入れるし、事故が起きればすぐに給付され、頼りになる。安全対策費が出る雪崩講習会はボーダーやアウトドアの人の受講が増えた。地域で遭難防止に役立っている」

 海外の高所登山では、一般の山岳保険は死亡した場合しか保険金がおりません。無酸素で8千メートル峰6座に登頂した近藤和美さんは遭対基金の特徴をこう語ります。「高所登山でも救助や捜索に必要なとき速やかに費用が出る。生きて助ける、登山者の立場に立った共済です」


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