2007年6月13日(水)「しんぶん赤旗」

主張

政資法「改正」

自公民の幕引き策動は許せぬ


 自民、公明両党と民主党による政治資金規正法「改正」の動きが、衆院倫理選挙特別委員会で大詰めを迎えています。

 自殺した松岡利勝前農水相ら閣僚、自民、民主の有力議員が家賃もかからぬ議員会館に資金管理団体の事務所を置きながら年間数千万円もの巨額な経費を報告していた「事務所費問題」から広がった疑惑です。その解明を尽くさぬまま、問題すりかえの法制度いじりで「幕引き」に持ち込むことは、断じて容認できません。

逃げる政治家の高笑い

 同委員会の「改正」案審議では、自公と民主の双方が案を出しあい、選挙向けの「積極姿勢」をアピールしあいました。しかし、肝心の疑惑解明を素通りしたまま、たいして違いのない二つの案のどちらがいいか選べというのでは、議論に「中身」はなく、不毛の一語に尽きます。

 多くの政治家が、政治資金収支報告書への領収書添付義務がないのをいいことに、不明朗な支出を事務所費や光熱水費に紛れ込ませて届け出ていました。現行規正法にも違反する虚偽報告の疑いが濃厚です。

 それなのに、過去の違法・脱法行為はお構いなしで、「これからは新制度で公明正大にやります」といえば納得を得られると考えているなら、ずいぶん国民をばかにした話です。

 自公の案は、対象を資金管理団体だけに限定し、領収書添付も五万円以上の支出に限るとしました。他の政治団体を使っての使途隠し、支出の小口分散による領収書逃れも可能なとんでもない「ザル法」です。

 なぜこんなに抜け穴だらけなのかと問われて法案提出者の公明党議員は、「一部の政治家の報告に問題があったからといってすべての団体に厳しい規制をくわえるのは適当でない」と答弁しました。「すり替え」の矛盾を自ら認めたようなものです。

 求められているのは制度いじりではなく、個々の疑惑を徹底解明し、国民の批判を仰ぐことなのです。大本ですり替えている以上、実効ある法などつくれるはずがありません。

 違法・脱法行為を行った政治家が、責任を問われず、なんの反省もしていないのですから、法の抜け道をついての違法・脱法行為がまた繰り返されることは火をみるより明らかです。腐敗政治家が「今回も逃げ切った」と舌を出し、高笑いする姿が目にみえるようです。

 松岡前大臣はもちろん、かばい続け自殺に追い詰めたとまでいわれる安倍晋三首相、疑惑をかけられながら「死人に口なし」とうそぶいた伊吹文明文科相、自民党の中川昭一政調会長らは、いま知らぬ顔を決め込んでいます。

 民主党も、松本剛明政調会長の事務所費問題、光熱水費虚偽報告の中井洽元法相、闇献金疑惑の角田義一前参院副議長など多くの問題で国民への説明責任を果たしていません。

国民の力で闇晴らそう

 日本共産党の佐々木憲昭議員は同委員会で、与党案も民主案も疑惑解明には何の役にも立たないことを批判し「疑惑をかけられた政治家は、会計帳簿などを明らかにして自ら疑惑を晴らすべきだ」と求めました。これこそ当たり前の国民の声です。

 政治とカネをめぐる腐敗が後を絶たないのは、政治をゆがめる企業・団体献金、税金分け取りの政党助成金で政治が金まみれになり、政治家の倫理欠如がすすんだためです。参院選挙は、汚れた政治の闇を晴らす大切な機会です。「すり替え」で「幕引き」をはかる金権腐敗勢力に、厳しい審判を下すことが不可欠です。


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