2007年6月3日(日)「しんぶん赤旗」

薬物依存は治療可能

全国フォーラム 家族・仲間が支え


 シンナーや覚せい剤など薬物依存症に苦しむ人や家族でつくるNPO法人全国薬物依存症者家族連合会は二日、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで「家族のちから。ひろげよう回復の輪」をテーマに第四回フォーラム(三日まで)を開き、全国から約三百人が参加しました。

 林隆雄理事長が「薬物依存症は病気であることを伝えていこう」とあいさつ。薬物依存症の子をもつ家族が体験を語り、当事者が発言しました。

 薬物依存症から回復した三十二歳の息子を持つ母親は、息子が民間の薬物依存症者回復施設「ダルク」とかかわることによって回復し退寮して結婚、先ごろ七年ぶりに親子の再会を果たしたと報告。「本人はダルクで、家族は家族会で回復をはかるのがいいと思った」と語りました。

 「ダルク」に入寮し薬物の乱用をやめたという当事者の男性は、「(薬物を)止められたのは、ダルクの仲間や家族に愛されていると分かったから」と語りました。

 十二年も薬物依存症だったという男性(36)は、いまあるダルク施設の責任者を務めています。男性が母親との葛藤(かっとう)を乗り越えるなか、最初は家族会を嫌っていた母親が家族会を立ち上げるまでになった経過を語り、大きな拍手に包まれました。

 国立精神神経センター精神保健研究所薬物依存研究部長の和田清氏や、スペインで薬物依存症者の回復施設を運営するプロジェクト・オンブレの代表が講演しました。

 フォーラムに先立つ二〇〇七年総会では、国際的には「薬物依存症は精神と肉体にかかわる障害である」ことが知られているのに、日本では犯罪として扱われ、回復治療の対象とはされていないとして、(1)依存症者に対する正しい社会的認識の推進(2)医療、司法と地域社会を結ぶ回復のための公的中間施設の設置―などをもとめたアピールを採択しました。


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