2007年5月31日(木)「しんぶん赤旗」

規制改革1次答申

労働ルール撤廃盛らず

世論の厳しい批判受け


 政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)は三十日、医療、保育、教育、金融などの分野の規制改革を盛り込んだ第一次答申を決めました。

 同会議の再チャレンジワーキンググループが二十一日に、労働時間や派遣労働の全面的な規制撤廃などを柱とする意見書を出しましたが、世論の反対や政府内の異論が噴出したことで、答申には盛り込まれませんでした。

 答申では、医療費抑制のために医療業務の効率化を図るとして、レセプト(診療報酬請求明細書)のオンライン化の完全実施を求めています。保育では、保育料引き上げにつながる「応益負担」への転換などを盛り込んでいます。教育では、学校選択制の普及促進や学校を予算で差別する教育バウチャー(利用券)制度の実現を提言しています。

 このほか、官製談合の舞台となった農林水産省所管の「緑資源機構」の業務の大幅な縮小を打ち出しました。

 答申を受け、政府は六月下旬をめどに「規制改革推進新三カ年計画」を閣議決定する方針です。

 規制改革会議は、国民生活の根幹にかかわる部分の「規制緩和」の司令塔となっていた規制改革・民間開放推進会議の後継組織として今年一月に発足したものです。


草刈議長

悔しさにじむ会見

政府からも異論

 「何をどこに入れるか決めていなかった。いろいろな結論を出せる状況でなければ…」。規制改革会議の草刈隆郎議長は、第一次答申をまとめた後の記者会見で、労働時間の規制撤廃などが盛り込まれなかったことについてこう述べました。

 同会議のワーキンググループが、「労働時間や派遣労働の規制撤廃」、「最低賃金の引き上げ反対」などを掲げた意見書を二十一日に発表していましたが、第一次答申には盛り込まれませんでした。

 “二十一日の記者会見では入れる旨の説明があったはず”と記者団から問われた草刈議長は「もしそうだったら私どものミスです」と答えるのがやっとでした。

 意見書に対しては、国民の強い反対の声が上がっていました。また柳沢伯夫厚生労働相が日本共産党の小池晃議員の質問に、「適正さを欠いている」(二十二日の参院厚生労働委員会)と答え、林芳正内閣府副大臣も、「(政府の)政策の方向性に反することがないよう草刈議長に指示した」(二十九日)と述べるなど、政府内からも異論が出ていたもの。

 世論の批判の強さの前に、答申を盛り込めなかった草刈議長の悔しさがにじむ会見でした。(拓)



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