2007年5月27日(日)「しんぶん赤旗」

主張

強行採決の連発

民主主義を口にする資格ない


 自民党と公明党の与党が二十五日の衆院厚生労働委員会で、社会保険庁を解体し民営化する法案の審議を一方的に打ち切り、採決を強行しました。法案の問題点が明らかになり、五千万件にのぼる年金記録ミスも発覚するなかで、採決を強行した与党の責任は重大です。不当な採決は断じて認めることはできません。

 今国会の運営は異常のきわみです。新年度の予算に始まり、改憲手続き法、少年法改悪、社会保険庁解体法案などと、焦点となる法案が次から次へと、与党によって強行採決されています。「数の力」で横暴を繰り返す自民・公明両党に、民主主義を口にする資格さえありません。

議論を封じ込める卑劣さ

 与党が「数の力」で審議を一方的に打ち切り、採決を強行する強行採決が、「言論の府」である議会の民主主義のルールに反していることは論を待ちません。しかも今国会で与党が繰り返している強行採決は、法案の問題点が明らかになりとても成立させられないことが明らかになるなかで与党が一方的に審議を打ち切り、採決を強行しているものです。文字通り“数の横暴”そのものです。

 十八年ぶりの暴挙となった、衆院予算委員会での予算案の採決がまずそうでした。通常国会の一番の課題は新年度の予算案を審議し決めることです。とくに今国会は安倍晋三内閣が発足して最初の通常国会であり、「貧困と格差」「政治とカネ」「閣僚の資質」など審議すべき課題が山積していました。にもかかわらず与党は、必要とされる集中審議や参考人招致もおこなわず、採決を強行したのです。国民の声を無視し、政府・与党に不利な議論は封じ込める卑劣きわまりないやり方です。

 首相の任期中に改憲を実現するとの安倍首相の狙いに沿って、今国会の焦点となった、改憲手続き法もそうです。手続き法の制定が「中立・公正」なルールづくりどころか改憲に直結していることが明らかになり、最低投票率の規定がないなど法案そのものの非民主的な問題が明らかになるなかで、与党は衆院憲法特別委での採決を強行しました。まさに憲法そのものを破壊する暴挙です。

 しかもそのぼろぼろの法案を、与党は参院では満足な審議もおこなわず、採決に持ち込み成立を強行しました。参院の過密審議に抵抗せず採決日程に同意した民主党も、責任追及を免れることはできません。

 社会保険庁解体法案もまったく同じです。国が責任を負うべき年金業務を民間任せにする問題と並んで、審議で大きな問題として浮上したのは、年金加入者に大きな不安を与えている年金の記録ミスの問題です。首相は「救済する特別立法について実現に努力していきたい」というだけで、具体的な対策を明らかにしていません。そうしたなかで採決を強行したのは、文字通り問題を「不問」にするに等しいものであり、絶対に許されることではありません。

参院選挙で国民の審判を

 国会は衆議院も参議院も、自民・公明の与党が多数の議席を持ちます。しかしだからといって国民が白紙委任したわけではありません。徹底審議で国民の意思を反映させることこそ、国会の責務です。国民が望んでもいない法案を強行採決で成立させる権利は、誰にもありません。

 強行採決を繰り返す与党の態度は、国民の声に耳を貸さず、まさに問答無用で国民を従わせようというものです。この与党にも、与党と対決を貫けない民主党にも、参院選挙で国民のきびしい審判が不可欠です。


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