2007年5月24日(木)「しんぶん赤旗」

主張

政治とカネ

かばい続け恥ずかしくないか


 衆院予算委員会で「政治とカネ」をテーマに集中審議が行われました。

 松岡利勝農水相、伊吹文明文科相らが、事務所費、光熱水費問題で政治資金規正法逃れの虚偽報告を行っていた疑惑にたいし、国民の怒りが高まるなかでの集中審議でした。安倍晋三首相の答弁ぶりから浮かび上がったのは、真相の解明を徹底して拒否し、疑惑大臣をかばいぬき、国民の批判を逃れるのが、この内閣の基本姿勢であるということでした。

疑惑にフタねらう

 松岡農水相の目には、自分にかわって繰り返し答弁席に立ち、「(松岡氏は)法にのっとって適切に処理した」と答え続ける安倍首相の背中が、さぞかし頼もしく映ったことでしょう。これほど疑惑にまみれた閣僚を、これほどかばいだてした首相はかつてありません。

 家賃も水道料もかからない国会の議員会館に資金管理団体の主たる事務所を置きながら、数千万円もの事務所費、光熱水費を計上した異常な経理処理です。政治資金収支報告書に領収書の添付が義務付けられていないことを逆手にとって、国民の目から隠したい不明朗な支出をここに紛れ込ませたという行為は、現行の政治資金規正法にてらしても違法の疑いが濃厚で、松岡氏らには国民にきちんと説明する責任があります。

 政治資金規正法は、年一回の収支報告の提出とともに、事務所費など経常経費について、支出の帳簿と領収書を保管することを義務付けています。事務所費問題は本紙一月三日付のスクープを機に社会問題化しました。それから四カ月以上が過ぎたというのに、松岡氏は担当者から報告を受けただけで、自分では帳簿類の確認さえしていないといいます。あまりにも不自然で、それが事実なら無責任きわまります。

 ところが安倍首相はこれにも「人それぞれだから」と助け舟を出し、内閣の責任で帳簿類の確認をする必要性も認めませんでした。自らが選んだ閣僚への最低限の管理責任も放棄しているといわざるをえません。

 首相が答弁で最も力を込めたのは、「自民党も民主党も事務所費では問題があった」「今後は法律を整え、こういう批判が起きないルールをつくることだ」というくだりです。結局、お互い、過去を振り返れば恥ずかしいことが出てくるから、それをつつきあうのはこれぐらいにして、政治資金規正法「改正」論議でお茶を濁そうというのです。

 しかし、自民、公明の合作で提出されようとしている「改正」案は、規制対象を資金管理団体に限定し、領収書添付も五万円以上の支出に限るというとんでもないザル法です。

 公明党の質問者は、時間いっぱいをつかって「ザル法ではない」という論陣をはりました。しかし、真相解明から逃げたまま、真の再発防止策など出てくるはずがないのです。

金でゆがむ政治ただそう

 安倍内閣に問われているのは事務所費問題だけではありません。日本共産党の佐々木憲昭議員は、保険金不払いが判明した保険会社による自民党への献金について「国民は理解できない」と批判しました。

 政治資金にたいする規制は、金の「入り」も「出」も透明性を高め、国民の監視と批判の中で、政治家の倫理をただすという考えに基づいています。事務所費問題が示した政治資金の無節操ぶりは、庶民には想像もつかない巨額の資金を企業から与えられていることと裏表です。金がゆがめる政治をただせぬ政党、政治家に国政を担う資格はありません。


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