2007年5月23日(水)「しんぶん赤旗」

基地被害・負担を拡大

米軍再編法案 緒方議員の反対討論


 日本共産党の緒方靖夫議員が二十二日、参院外交防衛委員会でおこなった在日米軍再編促進法案への反対討論は以下の通りです。

 本法案は、日米両政府がすすめる米軍と自衛隊の再編を推進するために提出されたものです。

 そもそもアメリカがすすめている「米軍再編」は、先制攻撃戦略に同盟国を深く組み込み、地球規模で軍事態勢を再編成するものであり、在日米軍と自衛隊の再編もその一環にほかなりません。アメリカの先制攻撃戦略につき従って、米軍と自衛隊が一体となって海外で戦争できる態勢づくりをすすめるなどということは、到底許されません。

 政府は、「沖縄の負担軽減」を強調しますが、米軍のグアム基地増強は、太平洋地域重視を打ち出したQDR(「四年ごとの国防計画の見直し」)に基づき、米国政府自身が自らの方針に基づいてすすめているものであり、在沖海兵隊の「移転」計画は、グアムに陸・海・空・海兵隊統合の新たな一大戦略拠点をつくるという米戦略の一部を担うものです。そのうえ、政府は名護市辺野古に垂直離着陸機オスプレイの配備も可能な新基地建設をすすめているのです。

 政府の言う「負担軽減」が全くのまやかしであり、再編が、全国各地に基地被害を拡大し、沖縄に新たな負担を拡大することは、明白であります。

 法案は、在沖海兵隊司令部八千人とその家族九千人のグアム「移転」経費のうち、約六十億ドルを日本が財政負担するとしていますが、本来、在日米軍部隊がアメリカの領土に戻る費用は米国が負担するのが当然であり、そうした費用を負担した国など、世界のどこにもありません。日米安保条約・地位協定にも、負担の根拠が一切ないことは、政府自身が認めています。

 ましてや、米軍占領下に銃剣とブルドーザーで強奪して構築された、沖縄の基地の歴史にてらして、米軍の撤退費用を負担することは、到底認められません。

 新たに導入する再編交付金は、従来の基地交付金などと全く異なり、再編基地強化を受け入れた地方自治体のみを対象にし、交付期間は原則十年限りで、計画の進ちょく状況に応じて交付額を増やすとしています。重大なことは、政府が、自治体の受け入れ表明がなくても、再編を拒否していても、日米で合意した再編案を押し付ける方針を表明しながら、その一方で、受け入れ表明したところにだけカネをだすという点であります。

 これは、カネの力で、基地を抱える地方自治体と住民を分断、懐柔、屈服させて、基地強化を押しすすめようというものであり、まさに住民を愚弄(ぐろう)するものと言わざるをえません。

 この間、沖縄で、政府が県民の大多数が反対する米軍新基地建設にむけた調査実施のため、こともあろうに自衛隊の掃海母艦「ぶんご」を差し向けるという、前代未聞の異常な事態がおきました。政府の姿勢は、基地強化反対の声を、軍艦で威圧し、是が非でも日米合意をすすめようとするものであり、断じて許すわけにはまいりません。

 地方自治体や住民が、このような危険極まりない再編計画に反対と懸念の声をあげ、政府の強引なやり方を批判するのは当然です。

 再編計画そのものを撤回し、本法案は廃案にすることを強く要求して、討論を終わります。



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