2007年5月22日(火)「しんぶん赤旗」

道州制

財界主導で議論加速

住民施策削減に警戒も


 四十七都道府県を廃止し、全国を十程度の「道・州」に再編する道州制導入の議論が、政府・自民党内で進んでいます。今年二月に渡辺喜美・道州制担当相の下に設置された「道州制ビジョン懇談会」(座長・江口克彦PHP総合研究所社長)は、ほぼ月一回のペースで開催。自民党の「道州制調査会」(委員長・杉浦正健衆院議員)も中間報告の作成作業に入っています。


「県では非効率」

 これまで五回開かれた「道州制ビジョン懇談会」の議論で目立つのは、財界団体の要求に根ざした推進論です。

 四月九日の会合では、ビジョン懇委員の出井伸之氏(ソニー最高顧問)が、日本経団連が三月に発表した「道州制の導入に向けた第一次提言」を具体的に説明。

 三月の会合では、九州経済同友会役員が、都道府県制では、産業・雇用・社会資本整備がいかに「非効率」であるかを強調。それを受けて「経済界ではもはや県単位では考えていない」などの議論を交わしました。

 政府・与党や財界は、道州制を「国のあり方」の改変と位置づけています。

 日本経団連は、国の役割を「外交・防衛・司法」など必要最小限なものに限定。消防、医療、介護などの分野は、現在よりも広範な自治体に再編・合併された「基礎自治体」(三百程度)に任せるとしています。「国に依存せず」「地域の自立」の名目のもとに住民サービスの切り捨てに直結する危険があります。

「町村が皆無に」

 しかし、政府・財界主導の構想のため、国民の関心は高くありません。それだけに、ビジョン懇でも「もっとわかりやすく」などと危機感も示されています。

 このため、ビジョン懇とあわせて、「国民的議論の喚起のための運動に参加」する組織として、「道州制協議会」が設置されました。同協議会のメンバー十一人は、全員が関西経済連合会など地域の財界関係者で占めています。このメンバーが中心となって、全国九ブロックごとに「道州制協議会」を結成し、世論喚起のためのシンポジウムを実施するとしています。

 急速な議論の進展にたいし、警戒の声も上がっています。

 政府の地方分権推進委員などを務めた大森彌・東大名誉教授は「道州制の導入が現実問題になれば、町村は、この日本から皆無になる。これは合併の是非どころの話ではなく存亡の危機である」(「町村週報」四月二日号)と批判しています。

 地方制度調査会委員だった西尾勝・東大名誉教授も、さいたま市で開かれた道州制シンポジウム(四月)で、自民党や財界の道州制案について、「地方分権の趣旨にはまったく思慮しない構想になる。大変危ないものだ」と警告しました。


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