2007年5月21日(月)「しんぶん赤旗」

違法盗聴

米司法長官に批判増す

大統領の指示うけ主導

民主党が不信任案準備


 【ワシントン=山崎伸治】ゴンザレス米司法長官に対する議会やメディアの批判が強まっています。連邦地検の検事正八人の解任問題に加え、同氏が国家安全保障局(NSA)による違法な電話盗聴の継続にかかわっていたことが改めて注目されたからです。十七日には民主党の有力上院議員が同氏に対する不信任決議案を提出することを表明しました。


 二〇〇一年九月の同時多発テロ直後に秘密裏に始まったNSAによる違法盗聴をめぐっては、〇四年三月に当時大統領法律顧問だったゴンザレス氏が、入院中のアシュクロフト司法長官のところにまで押しかけて、継続承認を迫っていたことが、〇六年一月一日付の米紙ニューヨーク・タイムズで暴露されていました。

 その詳しいいきさつについて、入院中に長官代行を務めていたカミー前副長官が十五日の上院司法委員会の公聴会で証言。初めて公の場で明らかにされました。

定期的に検討

 盗聴活動は定期的に再検討されたうえで継続されており、〇四年三月十一日はその期限でした。カミー氏によると、司法省は盗聴活動が合法でないと判断し、継続には反対を決めていました。

 ところが十日夜、集中治療室で面会謝絶となっていたアシュクロフト氏のところに、ゴンザレス氏とカード大統領首席補佐官(当時)が訪問すると電話で連絡。先回りしたカミー氏が待ち受けると、両氏は代行を務める同氏を無視して、直接アシュクロフト氏に文書への署名を求めました。

 カミー氏は「私は怒った。私が見たものは、病気で弱っている人につけ込もうとする行為だった」と述懐。その直後にカード氏からホワイトハウスに呼びつけられますが、カミー氏は署名を拒否し、盗聴活動は司法長官の承認のないまま継続されました。

 カミー氏は辞職を決断。アシュクロフト氏や連邦捜査局(FBI)のモラー長官ら司法省高官も辞職するつもりだったといいます。

 この証言について、五月十六日付のワシントン・ポスト紙は「司法省の結論とは、行政府にとって何が合法で、何がそうでないかの最終判断となるべきものだ」としてホワイトハウスを非難。十七日付のニューヨーク・タイムズは、違法盗聴がそもそもブッシュ大統領の指示で始まったものだったことと合わせ、ゴンザレス氏の果たした役割を批判しました。

来週にも提出

 議会では十七日、民主党のシューマー、ファインスタイン両上院議員がゴンザレス氏の不信任決議案を早ければ来週にも提出する意向を表明。ワシントン・ポストによると、共和党からもコールマン上院議員ら六人がこれまで同氏の辞任要求を議会で表明しています。


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