2007年5月19日(土)「しんぶん赤旗」

新基地調査に“軍艦”

これが政府の「誠心誠意」か


 防衛施設庁は十八日、沖縄県名護市辺野古沖で、米軍新基地建設のための環境現況調査の着手を強行しましたが、こともあろうに、海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」まで動員し、乗船の潜水員が調査に参加するという異常事態となりました。

 海自出動について防衛省は、「施設庁からの要請」をあげています。しかし、施設庁は防衛省の外局で、現在、国会で審議中の防衛省設置法改定案では、両者は統合される計画なのですから、自作自演もいいところ。防衛省の新基地建設反対派住民に対する弾圧の意図は明白です。

 沖縄の米軍基地は、占領下に“銃剣とブルドーザー”によって県民から土地をとりあげ、建設された歴史を持っています。それから数十年後、ふたたび銃剣をつきつけるかのような行動に、県民は怒り心頭です。

 地元紙の琉球新報十八日付社説が、「(沖縄戦から)六十二年、国民を守るはずの自衛隊は、米軍の新基地建設に反対する国民を威圧するために『軍艦』を沖縄に派遣するのか」と厳しく批判したのも当然です。新基地建設に原則合意している仲井真弘多知事でさえ、「(掃海母艦出動は)銃剣を突きつけているような連想をさせ、強烈な誤解を生む」と批判しています。

 許しがたいのは、米軍再編をめぐる国民向けの説明と、実際におこなっていることがまったく違うということです。

 久間章生防衛相は十七日、参院外交防衛委員会で、日本共産党の緒方靖夫議員の質問に、地元合意を得るために「誠心誠意努力するという気持ちは変わらない」などと答弁していました。

 その舌の根も乾かないうちに、今回の実力行使に出る異常さ。そこには、「沖縄の負担軽減」を口実にした米軍再編の本質――米軍と自衛隊が一体に地球規模で展開する拠点づくり――が如実に表れています。

 辺野古での米軍新基地建設は、米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)の代替として狙われているものですが、琉球新報八日付の世論調査では、「辺野古への移設を進めるべきだ」はわずか16・9%の一方、「無条件撤去すべき」「国外移設」など“辺野古移設”反対は75・9%に達します。

 米軍再編に向けた政府の問答無用の姿勢が、沖縄をはじめ全国で新たな矛盾と住民の怒りを広げることは必至です。(小泉大介)



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp