2007年5月14日(月)「しんぶん赤旗」

主張

イラク特措法延長

自衛隊をただちに撤退させよ


 自民・公明両党は週明けに衆議院イラク特別委員会で、日本共産党などの反対を押し切って、イラク特措法を二年延長する「改正」案の採決を強行しようとしています。

 イラク戦争はブッシュ政権がうその情報をもとにはじめた侵略戦争です。不正義の戦争を正面から批判し、イラクから米軍・外国軍の撤退を求める声はもはや押しとどめることのできない世界の流れです。

 国際社会がアメリカのイラク政策を批判しているときに、自衛隊のイラク派兵を延長し、米軍支援を継続するのでは、国際的理解も信頼も得られるはずがありません。

国際社会の願いとは

 アメリカと一緒にイラク侵略を進めてきたイギリスのブレア首相が世界の批判を前に正式に辞任を表明しました。アメリカ議会は上下両院とも、遅くとも今年十月一日に撤退を開始し、来年三月末までに撤退を完了する条項をもりこんだ二〇〇七年度補正予算を成立させました(大統領は拒否権を発動)。アメリカ国民も、ギャロップなどが実施した世論調査(四月)によれば、六割が期限つき米軍撤退を支持しています。イラク問題の焦点は米軍の撤退をいつ開始し、いつまでに撤退するかです。米軍を増派し、イラク軍事占領に固執するブッシュ政権の政策はアメリカ国民の願いにも反しています。

 イラク国内でも米軍・多国籍軍の撤退を求める声は大きくなっています。英米独のテレビ局が実施した世論調査では国民の八割近くが撤退を求めています。イラク議会では、議員総数二百七十五人のうち半数をこす百四十四人が外国軍の撤退期限の設定を求める請願書に署名し、採決すれば成立するといわれます。シーア派のサドル師派はマリキ首相が米軍撤退の期限を示さないため政府から閣僚六人を引き揚げました。

 マリキ首相が「今年中にも日本の部隊は必要なくなる」(四日)とのべたのは、こうした動きを見てのことです。イラク周辺国拡大閣僚会議では、アラブ連盟のムーサ事務局長が「外国軍のイラク駐留の終結はイラク人の要求」と強調しました。

 安倍首相は四月の日米首脳会談で、イラク戦争を「理解・支援する」「日本も同じ目的のため努力を続ける」とのべて、自衛隊派兵の継続を約束しました。アメリカでもイラクでもイラクからの外国軍撤退が国際社会の大きな流れになっているというのに、米軍のいすわりを支持し、自衛隊を派兵し続ける安倍政権は世界の異常というほかありません。

 イラク戦争とその後の軍事占領は国連憲章の平和のルールに反しているからこそ、国際社会が批判しています。自衛隊のイラク派兵を続けるなら、日本は、国連憲章よりも軍事覇権主義を押し通すアメリカを優先する国だと見られるだけです。

崩れた特措法の論拠

 ブッシュ大統領は大量破壊兵器があるとの「情報は誤りだった」(二〇〇五年十二月)とのべました。ならばイラク戦争もただちにやめるべきです。イラク戦争が成り立たないなら特措法も成り立ちません。空自はバグダッドへ米軍兵士と軍事物資を運び、戦闘作戦を支援しています。政府が憲法違反という「武力行使と一体化」した活動です。「非戦闘地域」に限った特措法の規定にも反しています。「人道支援」どころかイラク人の殺りくの助長です。

 いま日本に必要なのは間違った戦争の軍事支援ではなく、国連や国際機関と協力した人道復興支援に全力をあげることです。



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