2007年5月13日(日)「しんぶん赤旗」
やめさせよう住民税6月増税
共産党の署名に反響
家計や経済を直撃
1カ月1万円増額の例も
日本共産党が呼びかけている「六月からの住民税増税の中止を求める署名」に反響が広がっています。(山田英明)
「一・六倍。住民税が毎月一万円近く増額されることを知りました。わずかな賃上げしかないところで、とんでもない」――。日本共産党のホームページ上に設けられた「住民税増加額シミュレーション」に、怒りの感想が多数返ってきています。
六月、定率減税全廃による住民税増税などで住民税がまた増えます。
現金給与実態統計調査(国税庁)によると、二〇〇五年のサラリーマンの平均給与(一年間を通じて勤務したもの)は、一九九八年以来八年連続で減少しています。
給与が減り続けるもとで、〇六年の総世帯の消費支出(総務省の家計調査)は前年と比べ、実質3・5%減少しました。
住民税額の増加が、庶民の暮らしと営業に悪影響を与え、景気をいっそう冷え込ませることは必至です。
日本共産党の庶民増税を告発する宣伝に「住民の怒りを参院選に生かす力を得ました」(負担増シミュレーションへの感想)「参院選は『税民投票』ですね」(同)などの声が寄せられています。
自公が決めた増税
所得税・住民税の定率減税の全廃は、二〇〇六年度税制「改正」として昨年三月、自民・公明両党などの賛成で決められました。
所得税の定率減税はすでに今年一月に全廃されました。六月には、住民税の定率減税が全廃され、家計を増税が襲います。
さらに六月には、国から地方への税源移譲に伴って所得税から住民税への税額の移し替えがされるため、一月に所得税が減額された分、住民税が増額されることになります。
所得の少ない高齢者は、昨年六月に住民税の非課税限度額が廃止された影響で、〇七年、〇八年も住民税額が増税されます。
こうした住民税額の増加が、国民健康保険料などの引き上げに連動する自治体もあります。
社会保障の充実・財政再建
庶民増税なしでも
定率減税の全廃や高齢者の年金課税強化(公的年金等控除の縮小、老年者控除の廃止)などの増税策は、年金財源などを名目に、自民・公明政権が二〇〇六年度税制「改正」として打ち出したものでした。
一方、これらの増税策と同時に盛り込まれたのは、研究開発減税の温存や情報基盤強化税制の創設など、大企業への減税の強化でした。
〇七年度税制「改正」では、所得税と住民税の定率減税全廃による庶民負担増額(一兆七千億円)に相当する大企業、大金持ち減税が盛り込まれました。
減価償却制度の「見直し」による大企業減税の規模は約七千億円(国と地方の合計)。証券優遇税制の一年延長は、株取引で大もうけをあげる大資産家に約一兆円規模の減税をもたらします。
無駄遣いをやめ、大企業、大金持ち減税を見直し、税の負担能力に応じた負担を、大企業や大金持ちに求めれば、庶民増税に頼らなくても、税収を増やすことができます。こうした税収によって、社会保障の充実や財政再建の道筋を開くこともできます。
増税は、増税中止法案を国会に提出して成立させるなどすれば、やめることができます。庶民増税中止を求める声を、大きな世論にし、政府・与党に迫ることが緊急に求められています。
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試算できます
日本共産党のホームページでは、自民・公明政権が押しつけた庶民負担増額を試算できるシミュレーション(http://www.jcp.or.jp/tokusyu-06/10-hutanzo/index.html)を設置しています。6月からの住民税増加額を試算できるコーナーも設けられています。
携帯電話からも接続できます。バーコード読み取りに対応する機種では、QRコード(図)を使って接続できます。
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定率減税 所得税額の20%(最大二十五万円)、個人住民税額の15%(同四万円)を、それぞれ税額から差し引くことができた減税措置。〇六年には減税額が半減(所得税は10%、最大十二万五千円、住民税は7・5%、最大二万円)され、〇七年には減税措置が全廃されます。 同減税措置の半減・廃止は、年金財源などを口実に、公明党が主張。自民、公明両党の賛成によって〇五年度税制「改正」、〇六年度税制「改正」として決められました。