2007年5月10日(木)「しんぶん赤旗」

法人税ゼロの仕組みとは?


 〈問い〉 過去最高の利益をあげる大銀行が法人税を一円も払ってないと知り、驚いています。いったい、どんな仕組みでそうなるのですか? (北海道・一読者)

 〈答え〉 大手銀行6大グループ(三菱UFJ、みずほ、三井住友、りそな、住友信託、三井トラスト)の2006年3月期の最終利益は、合計で約3兆1212億円に達し、バブル期を上回り過去最高の利益となりました。07年3月期でも最終利益2兆9600億円と前年並みの利益を得る見通しです。にもかかわらず、大手銀行6大グループの法人税はゼロの実態に、国民から厳しい批判が起こっています。

 「法人税ゼロ」の核心は、繰越欠損金制度という税務上のルールにあります。企業はその年に赤字が出た場合、その赤字分を翌年以降の利益から控除できます。例えば、500億円の赤字が出た翌期に300億円の黒字になれば、前期の赤字と相殺して課税所得が発生していないことになり法人税はゼロとなります。さらに200億円分の赤字を繰越欠損金として持ち越せるため、次の期に300億円の黒字が出ても差し引き100億円に課税されるだけになります。これが繰越欠損金制度です。

 このルールは、金融機関だけではなくすべての企業に適用されますが、過去の不良債権処理により巨額の赤字を抱えた大銀行には特に大きな恩恵です。

 日本経済研究センターの試算(06年3月期決算ベース)では、銀行が法人税を払うようになるには、三菱東京UFJ銀行が2・47年、みずほ銀行が4・44年、三井住友銀行が3・29年もかかります。みずほコーポレート銀行やりそなホールディングスは、欠損金の繰越控除が認められるルール上の恩恵を最大限受け、今後7年間も法人税ゼロが続きます。

 現在、税務上のルールとして使える欠損金の繰越期間は最大7年ですが、04年度の税制「改正」が行われるまでは最大5年でした。不良債権処理を最優先課題として推し進める小泉内閣が、銀行業界の要望に応え、期間の延長を決めたのです。

 そのほかにも、小泉内閣は、10兆円を超える公的資金の投入や産業活力再生法による約660億円の減税、保有株式の買い取り機構の創設など大手銀行に対し優遇措置を繰り返してきました。

 一方、手厚い支援を受けた大銀行は、猛烈な「貸し渋り」「貸しはがし」を進め、庶民からは両替・振替など銀行サービスの手数料引き上げや低金利で利子収入を奪い、さらには大手サラ金との提携を促進してまで収益性の向上に励みました。その結果、「過去最高の利益」です。

 「もうけすぎ」との批判に対し、大手銀行は手数料の引き下げを発表しましたが、収益性重視の姿勢は何ら変わっていません。制度の改正により、しっかり法人税を支払わせることが重要です。(芳)

 〔2007・5・10(木)〕


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