2007年4月26日(木)「しんぶん赤旗」

改正された「男女雇用機会均等法」

後を絶たない嫌がらせ…

“妊娠・出産での不利益扱い禁止”など

差別の改善に 生かそう

職場全体で取り組んで


 「産休を申し出たら雇い止めに」「転勤してないからと昇進させない」…こんな差別や妊娠・出産による嫌がらせが後を絶ちません。この四月、職場の男女差別に関する法律、男女雇用機会均等法が改正され、規制が強化されました。主な改善点を紹介します。


 これまでも妊娠・出産を理由の解雇は禁止されていました。今回さらに規定が強められ、妊娠中と産後一年以内の解雇は事業主が妊娠理由でないと証明しない限り、無効となりました。加えて、退職に追い込む嫌がらせや配置転換の強要などの不利益な取り扱いも禁止されました。非正規で働く人の「妊娠したから契約更新はしない」「妊娠した派遣労働者の交代を求める」なども対象です。

間接差別も一部禁止に

 「男性は外勤、女性は内勤」「営業でも与えられる権限が男女で違う」といった仕事配分、権限でも差別してはならないとされ、差別禁止の範囲が拡大しました。セクハラ防止対策は事業主の義務になりました。

 間接差別(一見すると男女差別ではないが結果として差別になる)も、限定した範囲ですが禁止されました。対象は(1)募集、採用の際の身長・体重・体力(2)コース別雇用管理の総合職の募集・採用での転勤(3)昇進にあたっての転勤経験という三つの要件。かつ「支店や支社がない」「転勤の実態がないのに転勤を条件にする」など合理的理由がない場合に違法となります。

 限定したのは財界の意向によるものですが、国民の批判をうけ、厚労省も間接差別は三つ以外にもありうることを認めています。今後のたたかいが大切です。

さらに改善求める声を

 法律が前進しても、自動的に差別が改善されるわけではありません。きびしい職場環境のもと、差別の是正を訴えたり、妊娠中の嫌がらせをはねのけるのは勇気がいることです。都道府県の雇用均等室に相談し改善を求めることもできます。改正を生かす職場全体の取り組みが大切です。

 また罰則や救済機関が弱いなど、均等法の実効性はまだ不十分です。さらに改善を求める声をあげていきましょう。

 (日本共産党女性委員会  事務局 米沢 玲子)

表

人間らしく働くルールを

日本共産党の提案

 日本共産党は、▽間接差別を限定せずに禁止▽産休でボーナスや評価が不利にならないよう保障する▽差別是正の取り組みを企業に義務づけ▽権限ある救済機関、罰則強化などの修正案を提案して、実効ある均等法改正を求めてきました。

 また、人間らしく働くルールを求める緊急提案を三月に発表。▽長時間労働の是正▽非正規の均等待遇と正社員化▽最低賃金の引き上げと全国一律最低賃金制などを提案しています。


均等法以外の制度改定も

 均等法のほかにも妊娠・出産に関する制度が改定されています。

 ▽産休中の出産手当金(産前六週、産後八週分)が従来の賃金の六割から三分の二に増額▽育児休業の給付金は、賃金の四割(休業中三割、復帰後一割)から五割(休業中三割、復帰後二割)へ増額(十月から)▽妊婦検診・無料回数が五回に(自治体による)▽不妊治療への助成・一回十万円上限に年二回へ。

 一方でこれまでは妊娠・出産で仕事をやめても、一定の要件を満たし退職後六カ月以内の出産なら出産手当金が受け取れましたが、四月からこの特例が廃止に(経過措置あり)。子育てと仕事の両立の厳しさから、第一子出産で七割が仕事をやめているのに、自公政権は給付切り捨てを行いました。



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