2007年4月25日(水)「しんぶん赤旗」

手続き法案

与党答弁 ボロボロ

ともかく改憲 最低投票率拒む


 九条改憲の条件づくりとなる改憲手続き法案の不公正・反民主的な内容の一つとしてマスメディアも指摘し始めた最低投票率の問題。与党は最低投票率を「拒否」する理由のひとつとして憲法の条文(九六条=改正手続き)に書かれていないことをあげてきました。

 しかし、十九日の参院憲法調査特別委員会で日本共産党の仁比聡平議員の追及でこの論理は破たん。改憲案を通しやすくする法案の狙いと構造が浮き彫りになりました。

 「仁比質問はヒットだった。法案提出者の保岡興治衆院議員は最低投票率を設けないために、極めて奇妙な論理を展開した」

 仁比氏と保岡氏のやり取りを間近で見ていた民主党の議員はこういいます。

 仁比氏は、法案では改憲の国会発議をめぐって、参院と衆院とで態度が食い違った場合に「両院協議会」を開くことができるとしているのに、改憲案の国会発議を定めた憲法九六条一項前段には、両院協議会の定めがないことを指摘。「一方では憲法に書いていないのに両院協議会を法案に取り込み、一方では憲法(九六条後段)に書いていないからといって最低投票率制度の導入を拒んでいる」と、法案の矛盾を追及しました。

 法案提出者の保岡氏はしどろもどろとなり、何度も法制局担当者に説明を受けながら、「(九六条前段は)国会の発議のルールを決めるという意味では重い自律権が与えられる」などと答弁。民主党議員は動揺した保岡氏の手が「ぶるぶる震えていた」と証言しました。

 仁比氏は「ご都合主義だ」と一喝。「国会の発議については、国会の自律にかかわるから(書いていない)両院協議会を決めていいが、国民主権原理にかかわる部分については憲法に書いていないから、それ(最低投票率の導入)は憲法違反の疑いがあるというのは全然答弁になっていない」として「撤回」を迫りました。

 与党の論理の破たんはそれだけではありません。最低投票率を設けると「ボイコット運動を誘発する」という「理由」も衆院段階の中央、地方公聴会で完全に反ばくされています。ボイコットも主権者の意思表明のあり方ではないか、実際に住民投票でボイコットしているのは改憲派に近い人たちではないか、などなど―。結局「憲法改正がやりにくくなる」という改憲派の「都合」だけが浮き彫りになりました。(中祖寅一)



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