2007年4月6日(金)「しんぶん赤旗」

改憲手続き法案中央公聴会

公務員規制に批判次々


 「いまなぜ改憲の必要があるのか」「公務員規制はおかしい」―。五日に開かれた改憲手続き法案の中央公聴会では、一般公募による公述人七人が意見を述べ、法案のねらいや問題点がいっそう浮き彫りになりました。

改憲案通すため

 「すでに自民党の新憲法草案が出され、安倍首相が改憲を声高に唱えている現在、改憲本体と手続き法をいまさら別個に論じられないことは明らか」。第二東京弁護士会の元副会長、森川文人弁護士はこう述べました。

 その上で、「改憲案を迅速に通すために極めて障害の少ない、民主的要件を満たさない本法案を拙速に成立させたいという意図があからさまだ」と批判しました。

 自由人権協会代表理事の庭山正一郎弁護士は、「(手続き法案が)『改憲の一環』ということを口にする人も多く、中立的な手続きだという『安心感』は急速に薄れている」とのべました。

 地方公務員の立場から発言した高知県本山町職員・松繁美和さんは、「憲法尊重擁護義務の宣誓をした公務員が憲法の在り方にかかわることができないなどということは憲法の理念に反する」と法案に盛り込まれた公務員規制を批判。「地位利用」というあいまいな規定で教員・公務員の意見表明を規制することによる委縮効果にもふれ、法案の廃案を求めました。

 国民投票法は「当然必要」という大宮法科大学院大学法務研究科の南部義典氏も、公務員法における公務員の政治的行為の制限規定を、国民投票では「適用除外」とすることを求めました。

 また、投票日二週間前まで自由とされている有料CMについて「資金力の違いが宣伝力の格差になる」(松繁さん)などの批判が相次ぎました。

最低投票率なく

 最低投票率の定めもなく、国民の少数でも改憲案が承認されかねない問題についても四人から批判の声があがりました。

 また、庭山氏は、憲法の基本原理を崩すような改憲案が発議される恐れに言及。「憲法改正の限界を超えた発議がなされた場合の処置を法案に組みこむことが必要だ」と主張し、徹底審議を求めました。

 「四月中旬衆院通過」(与党理事)という、採決日程優先で設置された公聴会や拙速な審議のあり方についても意見が相次ぎました。

 主婦の田辺初枝さんは、公聴会の公募について「インターネットで知らせているだけでは、自分で見つけ出すことはまず不可能」と指摘。わずか三日前に公述人に決まったと通知を受けたこともあげ、「国の最高法規について是非を問う法案の公聴会を拙速なやり方で行うことに一国民として異議を唱えたい」と述べ、公聴会を全国各地で開催するよう求めました。

 国民の受けとめを聞いた日本共産党の笠井亮議員の質問に、森川氏は、合計92%の人が法案は「審議が尽くされていない」「分からない」と答えているという緊急アンケートの結果を紹介。「国民は改憲を必要としていない」と主張しました。

 また、田辺さんも、「国民として、日常の生活のなかで憲法を変える必要があるとは思えない。改憲の動きがどういう形で出てきたのか」と率直な疑問を述べました。

 松繁さんは、「『六十年たったから改憲』ではなく、どこまで憲法の理想に近づいたかそれを議論して、理想に近づいてもらいたい」と発言。委員会室に拍手が起きました。(藤原直)



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