2007年4月4日(水)「しんぶん赤旗」
「この体 想像できるか」
水俣病患者らチッソ本社へ
「時効・除斥」の撤回要請
水俣病被害者の早期救済を求めるノーモア・ミナマタ国賠等訴訟原告団、水俣病不知火患者会の代表らは三日、チッソ東京本社を訪れ、同訴訟で突然同社が持ち出した「時効・除斥」の主張を撤回し、水俣病患者の全面救済をするよう要請しました。
同社側は訴訟の準備書面で、「時効の成立と除斥期間の経過による請求権の消滅」を主張し、原告の請求を棄却するよう求めました。
大石利生・原告団長はじめ原告ら約五十人は、同本社前で集会を開いたあと、チッソの石田紀生専務に「時効の主張は熊本地裁で退けられ確定している」と撤回を求める抗議文を提出。大石原告団長は「はじめてチッソ幹部に訴えを聞いてもらうが、痛さや味がわからない体がどういうことか想像できるのか。きれいな海をけがしておいて、五十年もたった今も被害者が出ている。時効といういいのがれはできない」と怒りをぶつけました。
患者会の甘利宇洲根さんら原告は「(手が震えて)年賀状がきても返事が書けない。文字が奪われ、生活が奪われた。許せません」などと涙声で訴えました。
原告らは、時効の主張は「原因企業としての責任を自覚していない証しでもあり、水俣病患者を乱暴・一律に切り捨てる暴論」と同社の姿勢を批判。「一日も楽に暮らせたと思ったことがない。あのきれいだった海を戻して、加害企業としての責任を果たしてほしい」とみずからの病状を訴え、早期の全面解決を迫りました。
同社の石田専務は、「時効・除斥」の主張が地元で大問題になっていることを理解し、一日も早い解決をめざすと表明しました。