2007年4月2日(月)「しんぶん赤旗」

アラブ人再移住に補償金

キルクーク問題で閣議決定

イラク


 【カイロ=松本眞志】イラクのシェブリ法相(世俗派イラク国民名簿出身)は三月三十一日、旧フセイン政権の「アラブ化」政策で北部のキルクークに移住したアラブ系住民の再移住計画を政府が二十九日に閣議決定したことを明らかにしました。

 石油資源が埋蔵されているキルクークでは一九六〇年代以降、イスラム教シーア派教徒のアラブ系住民が移住。七九年に政権に就いた旧フセイン政権はこれを加速させ、八〇―九〇年代にかけてクルド人やトルクメン人など十二万人以上の少数民族を追放しました。再移住計画は一九六八年七月十四日以降に移住したアラブ系住民を原住地に帰還させるとしています。

 この閣議決定についてシェブリ法相は、再移住が自発的なものであり、「強制的に再移住させる懸念や決定はない」と説明。アラブ人再移住者には政府が補償金として一万五千ドル(約百八十万円)を支払い、原住地での住宅を提供すると述べました。クルド人への帰還支援金(約九十万円)と土地の付与も決められたといわれます。

 同相が委員長を務める政府機関のキルクーク正常化委員会は、今年二月の初めに同計画を決定。これに対しては、再移住を求められているアラブ系住民だけでなく、かつてキルクークに定住していたトルクメン人も、クルド人を優位に立たせるものだと反発していました。

 一方、スンニ派イラク合意戦線出身のババン計画相は、閣議決定を前に、再移住が自発的に行われることに「疑いをもっている」とし、強制的再移住への懸念を表明していました。

 イラク新憲法は一四〇条で、米軍占領下でつくられた基本法のキルクークの「非アラブ化」条項を引き継ぎ、この条文に基づき今年末までに住民投票が実施される予定です。しかし、憲法は同時に、キルクークの「正常化」を投票実施の条件としています。今回の閣議決定で「正常化」が進むのかはなお不透明とみられています。


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