2007年3月29日(木)「しんぶん赤旗」
セイトウ無責任時代 自・民「融合」
首都圏相互乗り入れ■説明不能の「対立」■選挙限定野党
「対立」する政党に支援をうけた候補者同士が仲良く相互応援、ともかく「対立」候補を立てたものの“なぜそうしたか”を有権者に説明できない、そして選挙が終われば、やっぱり元のさや(与党)に―十三都道県知事選をめぐって、政党の退廃・堕落現象が浮かびあがってきています。「オール与党」に参加する自民、公明、民主などの各党が、選挙で無理に“対決構図”をつくろうとしたために矛盾が噴出した格好です。
一体何考えてんだか(「東京」)
「みんな一体何を考えてんだか」。知事選告示日に、東京・石原慎太郎、神奈川・松沢成文、埼玉・上田清司の三知事が東京と横浜で「相互応援」したことを東京新聞のコラム(二十七日付)はこう批判しました。
石原氏は自民、松沢・上田両氏は民主が出身政党。今回の知事選でも石原氏を自民・公明、松沢氏を民主・社民がそれぞれ支援という構図です。
同コラムは「それぞれの地元組織には青天のへきれきだったことだろう」「政党政治の活性化に助力してしかるべき首長たちが、ここまで政党をないがしろにしていいのかどうか」と嘆きます。
三知事とも自公民などの「オール与党」に支えられているだけに、本人たちはまったく意に介さず、松沢氏は「(首都圏連合構想の)親分が石原都知事、兄貴分が埼玉・上田県知事」と持ち上げました。
神奈川県知事選では、▽自民県連が推薦申請した候補を、党本部が知名度がないと却下▽民主・社民が支持する松沢氏が石原氏を応援▽自民県連推薦の知事候補は、民主出身の埼玉・上田知事が重用した人物―と、「三重のねじれ」(「毎日」二十五日付神奈川版)が生じ、自民も民主も一体の“政党融合”状態です。
「オール与党」の一員として松沢知事を支えてきた自民党は、選挙目当てに「野党ポーズ」をとり、河野太郎自民県連会長は、「県庁をぶっ壊す」と絶叫するものの、具体的な県政批判はありません。
一方の民主は、松沢、石原両氏の「相互応援」に鳩山由紀夫幹事長が「はなはだ残念。だからといって(松沢氏に)おやめくださいとはいえない」と腰が引けたコメントしかだせない状態です。社民は松沢支援を撤回しました。
2党首は職場放棄か(「産経」)
全国が注目する東京都知事選では、政党の姿が見えません。
石原氏は自民・公明が、浅野史郎氏(前宮城県知事)は民主・社民がそれぞれ支援するものの、告示日に誰一人、政党幹部は都民に訴えることができません。「産経」(二十三日付)はこう書きました。「2人の党首(自民、民主)は職場放棄をしてしまったのだろうか」
唯一訴えたのは、吉田万三氏(元足立区長)を推薦した日本共産党の志位和夫委員長だけでした。それは、“政党らしい政党”として、「オール与党」と正面から対決し、住民の利益を守る党の姿を示すものでした。
民主県連幹部、「対立」候補に陳謝
福岡県知事選は、民主党が自民党と、ともかく「対立」する県の一つです。
民主の鳩山幹事長は、「唯一最大の争点は多選批判」(二十三日、定例会見)と語り、菅直人代表代行も二十四日の応援演説で、「三期目くらいからあぶない」と述べ、若い知事を誕生させようと「多選批判」をぶち上げました。
同党はこの四年間、自公とともに現知事提出議案を100%賛成し、信任。対立候補を立てた後も、来年度予算に賛成しています。
結局「多選」以外にめぼしい「争点」を見つけられず、“県政の何が問題で、どう変えるのか”については口をつぐんでいます。
板ばさみ
民主県連副代表は、自身のホームページで、にわかに対立候補を擁立し「私の応援団も正直言って真っ二つ。板ばさみの状況」などと苦しい心情を吐露。はては、「麻生先輩(現知事)、申し訳ありません」と陳謝までする始末です。
民主党の支持団体・連合福岡の加盟労組の一部が現知事を支援。現地の「読売」二十四日付は「民主議員困った」の見出しで、「党と労組の板挟みになり、(県、市議会の民主党)議員からは『知事選の話は一切しない』との声も漏れ」はじめていると報じています。
自らの候補者を議員が話題にすらできない――民主党の政党としての存在意義が問われます。
元のさや
「オール与党」の一員である民主党が、選挙のときだけ「野党」というのは、今年に入っての山梨、愛知の知事選で証明済みです。
山梨県では今年一月、知事選で自民党が二つに割れ、それぞれが現職候補、新人候補を擁立。しかし実態は「オール与党」が選挙に際し“内紛”しただけ。誰が知事になろうと選挙が終われば、みごとに元のさやです。
民主党は敗れた現職の知事候補を推薦しました。選挙直後には、「常に是々非々の姿勢を堅持し、県政をチェックしたい」と一応の「対決姿勢」。ところが二月県議会では、知事提出の六十四議案すべてに賛成、あまりの無節操に県民からひんしゅくをかっています。
二月に知事選のあった愛知県も同様です。
民主は独自候補を擁立し、さんざん「対立」をあおるも敗北。その後「建設的野党」を自称しましたが、わずか一カ月で翻意、「総合的な政治判断」(民主党県議団長)として、〇七年度予算を含む知事提出の八十八議案すべてに賛成しています。自民党のベテラン県議からは、「(与党入りの)チャンスをうかがっている」と指摘されるなど、民主党の本音はすでに見透かされています。

