2007年3月27日(火)「しんぶん赤旗」

大義に立ったたたかいは未来に必ず生きる

――野党外交で実感した日本共産党の85年の歴史の重み

志位委員長の訴えから


 日本共産党の志位和夫委員長は、いっせい地方選挙、参議院選挙勝利にむけた全国各地の演説会のなかで、日本共産党の国政、地方政治での役割とともに、この間の野党外交の発展と、それをつうじて実感した日本共産党の八十五年の歴史の重みについて語りました。この訴えには、各地で大きな共感と反響がよせられています。その部分を紹介します。


写真

(写真)演説する志位和夫委員長

 最後に私は、世界に目を向けてみたいと思います。

 私は、昨年九月に、韓国、パキスタンを訪問し、今年の一月にベトナムを訪問する機会を得ました。どこでも共通して感じたのは、二十一世紀の世界が平和と進歩の方向に音を立てて変わりつつあることとともに、日本共産党の八十五年の歴史がもつ重み、八十五年の歴史が今日に生きているということでありました。

侵略戦争と植民地支配に命がけで反対をつらぬいた歴史
 ――韓国との友好の土台に

 韓国では、日本共産党が、戦前の厳しい弾圧のもとで、侵略戦争と植民地支配への反対を命がけでつらぬいた党だということが、友好の土台となりました。

 私はソウルに到着して、一番はじめに西大門(ソデムン)刑務所跡歴史館を訪問し、弾圧で倒れた朝鮮の愛国者たちに追悼の献花をおこないました。西大門刑務所というのは、かつて日本帝国主義が朝鮮の愛国者たちを投獄し、拷問し、処刑した、韓国の人たちにとっては深い痛みの地であります。私はつめかけた韓国メディアに「まっさきにここにきた理由はなんですか」と問われて、こう答えました。

 「私たち日本共産党は、一九二二年に党を創立しましたが、党をつくった当初から朝鮮の愛国者とともに植民地支配に反対を貫き、朝鮮独立のたたかいに連帯してたたかった歴史を持っていることを誇りにしています。そういう党を代表して、私は、この場で、私たちのいわば“歴史的同志”に対して敬意と追悼の気持ちをのべたいと思います。同時に私は、二十一世紀の日韓両国民の本当の友好を願って、この場に来ました。日本にとっては、これは恥ずべき過去ですが、誤った過去に正面から向かい合ってこそ、アジアに本当の友人を得ることはできると、私は信じています」。

 私は、こう答えながら、戦前の苦難のたたかいのなかで、反戦平和の旗をかかげ続けた、戦前の私たちの先輩たちへの敬意と、こういう歴史をもつ党の一員であることの誇りを強く感じました。(拍手)

 私のこの行動を、韓国のテレビ各局はゴールデンアワーの時間に大きく報じました。日本ではあまり報じられなかったようですけれども(笑い)、韓国ではずいぶん報じられたようです。次の日に私が韓国国会を訪問しますと、国会議長の林采正(イム・チェジョン)さんはこういわれました。「志位委員長が西大門を訪問されたことに、私は感無量です。感謝の気持ちでいっぱいです。韓国国民を代表して感謝します」。この言葉には、私たちが逆に深い感動を覚えました。(拍手)

旧ソ連の覇権主義とたたかいぬいた自主独立の党
 ――パキスタン訪問で響きあう

 次に私は、パキスタンを訪問しました。パキスタン政界のみなさんとの交流で、信頼の根本となったのは、日本共産党が旧ソ連のアフガニスタン侵略(一九七九年)に反対するなど、旧ソ連の覇権主義・干渉主義の誤りに、それこそ党の生死をかけてたたかい、自主独立を貫いた政党だということであります。

 旧ソ連のアフガン侵攻で、パキスタンには、難民、銃、麻薬が大量に流れ込み、この国はたいへんな被害をこうむりました。それだけにこれに勇気をもって反対を貫いた有力な共産党が日本にあるということが、信頼の土台となりました。

 日本共産党との交流のなかで、駐日パキスタン大使が日本共産党がこういう歴史を持つ党だということを“発見”し、交流が発展するなかで、今回訪問してみますと、パキスタン政界の主要な人々がみんな日本共産党の歴史を知っているのです。

 たとえば、私が、スムロ上院議長と会談した際に、日本共産党の自己紹介をしようと思いまして、党のプロフィルを出そうとしますと、その前に先方からこういう言葉が出てきました。

 「私は、日本共産党について研究しました。一九二二年に党を創立されて以来、戦前の困難な時期、戦後の党内部分裂などをくぐり抜け、また二つの大きな共産党の干渉にもかかわらず、自主独立を維持してきました。チェコスロバキア、アフガニスタンへの侵略に対しても反対し、自分の頭で考え、自分の路線をさだめてきた政党だということを知っています。私は、あなたの党に最大の敬意の念を抱いています」。(拍手)

 こういわれてしまいますと、私は、自己紹介の必要がなくなってしまいます(笑い、拍手)。日本共産党が、どんな大国のいいなりにもならない、また、どんな大国の横暴も許さない自主独立を貫いた党だということは、同じように大国のさまざまな圧力や横暴のもとで、苦労をしながら国づくりにとりくんでいるパキスタンとも響きあうんですね。(大きな拍手)

いまに生きる侵略戦争反対の連帯のたたかい
 ――ベトナムを訪問して

 私は、この一月にベトナムを訪問しました。ベトナムでは、アメリカによる侵略に反対するベトナム人民の抗米救国戦争に連帯した日本共産党や民主団体の連帯のたたかいが、どこでも生々しい記憶として残っています。私たちがホーチミン市の戦争証跡博物館にいきますと、「日本コーナー」がありまして、なつかしい日本のベトナム人民連帯のポスターがはってあります。この歴史がベトナムの人々との連帯の絆(きずな)として、いまも生きていることを強く感じました。

 私が、ベトナム共産党のマイン書記長、ズン首相らと会談したさいにも、先方からは、「かつて抗米救国闘争に連帯してくれたことを、けっして忘れない」、この感謝の言葉からはじまります。

 若い人との交流でも、そのことへの信頼が寄せられました。私は、ハノイ大学で講演をする機会がありましたが、私はそこで、私たちが青年だった時代に「自由ベトナム行進曲」をみんなでよく歌った、ということを話しました。不覚にも「いまでも歌詞を全部暗唱しています」(笑い)、こういったために、学生のみなさんから、「ここで歌ってください」といわれまして(笑い)、冒頭の一節を歌いましたら、若い人たちもみんな知っている歌で、手拍子と喝采(かっさい)が起こりました。(拍手)

 ベトナムでは、ホーチミン市の郊外にあるクチという土地にあるトンネルを訪問しました。かつて南ベトナム解放民族戦線が地下にトンネルを掘ってたたかったあとであります。当時、米軍は枯れ葉剤をまき、クチの緑を根こそぎ破壊し、クチを死の地に変えようとしました。しかしクチの人々は負けませんでした。手掘りで二百五十キロメートルにわたるトンネル網をつくりました。ここへ入りますと何でもあります。司令部、休むところ、寝るところ、食堂、医療所もあります。私は、案内をしてくれた元兵士のチアさんに聞きました。「水はどうしていたんですか」。そうしますと「トンネルの中に、さらに深い井戸を掘って、くみあげた」との答えでした。「食料はどうしていたのですか」と聞くと、「自給と周辺の農民がもってきてくれた」との答えでした。「武器はどうしたんですか」と聞くと、「米軍から奪ってたたかった」(笑い)との答えでした。チアさんは、「だから米軍がこないと困った」(笑い)という話までしていました。

 しかし、ここでは一万八千人の兵士のうち一万二千人が命をおとしたとのことでした。生き残った兵士も多くが深い傷を負いました。チアさんも片腕がありません。私は、チアさんに、「ベトナム人民の不屈の闘争に、心からの敬意をのべたいと思います」と言いました。そうすると相手から返ってきた言葉は、「同志たちも同じ立場だったら、私たちと同じようにたたかったでしょう」。これは、私たち日本共産党へのベトナム人民の最大級の信頼の言葉ではないでしょうか。(拍手)

この党の歴史と綱領に確信をもち、新たな勝利の記録を刻もう

 みなさん。日本共産党の八十五年の歴史は、一言で言って苦難の歴史です。わが党の歴史には、党が前進する時も、後退を余儀なくされる時も、いろいろあります。しかしどんな時でも、わが党が、どこかの風頼みで、楽々と前進できる時は、ひとときとしてありません。それは日本共産党が、戦前、戦後のすべての歴史をつうじて、その時々に日本社会の発展の障害になっている政治悪を大本から変える高い志を持ち、不屈にたたかう政党であり、だからこそ相手も、この党の前進を恐れ、さまざまな迫害、攻撃、封じ込めのくわだてをしてきたからであります。それらの歴史の逆流に正面から立ち向かい、打ち破りながら、前進を切り開いてきたのが、私たちの党の歴史であります。(拍手)

 しかしみなさん、大義に立ったたたかいは、必ず未来に生きる。そのことは、戦前の侵略戦争に反対した不屈のたたかい、戦後の自主独立のたたかい、反戦平和の国際連帯のたたかいが、世界のどこでも今に生きる力になっていることからも証明されているのではないでしょうか。(拍手)

 私たちは、わが党のこの歴史、そして「国民こそ主人公」の日本をめざす党の綱領に確信をもって、この選挙をたたかいぬき、必ず勝利をつかみたい。そして党の歴史に新たな勝利の記録を刻みたい(拍手)。みなさんの大きなご支援を心からお願いいたします。(大きな拍手)



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp