2007年3月26日(月)「しんぶん赤旗」

対イラン経済制裁決議

国連安保理が全会一致


 【ワシントン=山崎伸治】国連安全保障理事会は二十四日、核兵器開発につながりかねないウラン濃縮活動を継続しているとして、イランに対して国連憲章七章四一条にもとづく経済制裁を科す決議一七四七を全会一致で採択しました。安保理の会合に出席したイランのモッタキ外相は採決後に発言し、同国の核開発は平和目的で、国際の平和と安全に対する脅威とは言えず、決議は「違法で不当だ」と反論しました。

 イランの核開発をめぐって安保理は昨年十二月、六十日以内にウラン濃縮活動を停止するよう要求し、加盟国に対し、重水炉建設、弾道ミサイル開発にかかわる物資・技術の禁輸などを求めた決議一七三七を採択しました。しかしイランは決議を拒否し、期限後もウラン濃縮活動を継続したことから、国連安保理常任五カ国にドイツが加わった六カ国で追加の制裁措置が検討されていました。

 新たに採択された決議一七四七はイランに対し、ウラン濃縮活動を中止するよう重ねて要求するとともに、イランの武器輸出を禁止し、決議一七三七で定めた金融資産凍結の対象をイラン革命防衛隊の関連企業や個人にも拡大しているのが特徴。イラン革命防衛隊は要人警護を主任務とした同国指導部の親衛隊組織です。

 モッタキ外相は決議について、「核不拡散条約(NPT)の加盟国であり、すべての核施設をIAEAの監視下においている国を罰するものだ」と非難。「イランは対決を求めてはいないし、圧力と脅迫によって政策は変わらない」と核開発の継続を表明し、交渉による解決を強調しました。

 採択後の発言でロシアのチュルキン国連大使は、決議は「武力行使の可能性を排除したものだ」と指摘しました。

 全会一致で採択されたものの、南アフリカのクマロ大使(三月の安保理議長)は「理想的な内容とは言いがたい」と指摘し、カタールのアルナッセル大使は「圧力をかけ続けても、信頼を醸成することには役立たない」と述べるなど、決議の内容に批判の声もあがりました。


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