2007年3月8日(木)「しんぶん赤旗」

背景に首相の改憲前面姿勢

改憲手続き法案で与党強硬


 与党が七日、委員長職権で公聴会設定に向けた委員会設定まで強行したことは、改憲手続き法案成立への強い執念を示しています。

5月3日変えず

 衆院憲法調査特別委員会では法案の「修正」が論議されてきましたが、現に提出されているのは与党案と民主党案だけです。「修正」案が固まらないうちに何を対象にして公聴会で国民の意見を聞こうというのか。しかも、委員会日程を協議する前から法案の採決日程が「報道」されるという異常な事態です。

 七日の特別委理事懇で与党側は「出口(採決日程)の話はしていない」と報道を否定しましたが、自民党理事は「自民・公明両党で五月三日までに成立という方針は変わっていないし、現場のわれわれもその方向を共有している」と、月内の衆院通過を狙う方針は否定しませんでした。

 強硬論の背景には、五月三日までに改憲手続き法案を成立させるよう繰り返し求める安倍晋三首相の姿勢があります。

 安倍首相は五日の参院予算委員会で「支持率のために政治をするのではない。確信をもったことは断固として断じておこなう。戦後六十年たったいまこそ後回しにされてきた改革をやらなければならない」と述べ、改憲を前面に掲げることで、支持率低下を「突破」する意欲を示しました。格差・貧困問題はじめ行き詰まりを深める自民党政治への批判に開き直り、強権的に乗り越えようという思惑です。

矛盾さらに激化

 しかし、改憲路線を前面に押し出せば、国民との矛盾をいっそう激しくするのは必至です。現に特別委メンバーの事務所には、七日、抗議や要請のファクスが殺到しました。

 また、与党が単独採決も辞さずとの強硬姿勢を示したことで、自民・民主の「二大政党」合作による共同改憲路線に「亀裂」をもたらしかねない状況を生んでいます。民主党の枝野幸男議員は会見で「(安倍氏とは)憲法観がまるで違う。議論しても意味がない」と表明。別の民主党議員は、委員会開催・公聴会設定をめぐり与党と「協議に入れない」とした背景について、「大きな問題は手続き法案の議論で安倍首相が前に出過ぎていることだ」とのべました。

 なにより法案は、改憲案を通しやすくするための非民主的・不公正な内容をたくさん抱えています。極めて少ない賛成で改憲が成立する問題、国民投票運動で教員や公務員の言論が規制される問題、市民にはマスメディアの活用が保障されない半面、資金力に優る改憲勢力には有利な構造となっている問題などです。こうした問題点を国民が知れば、改憲手続き法案を廃案にという声が多数になることは確実です。(中祖寅一)


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