2007年3月5日(月)「しんぶん赤旗」

格差・農業対策など焦点

きょうから中国全人代

「調和のとれた社会」へ論議


 【北京=菊池敏也】中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が五日から十六日まで北京の人民大会堂で開かれます。会議の焦点は、昨年秋の中国共産党中央委員会総会(十六期五中総)で採択された「調和のとれた社会」の構築に関する決定を、国政レベルで具体化することです。

 また、社会主義市場経済での「物権」のあり方を定めた物権法案と、国内外の企業所得税率を25%に一本化する企業所得税法案を審議し、採決します。物権法案は、憲法に沿って私有財産の法的保護を規定したもの。これが格差拡大につながらないかをめぐり論議があるとみられます。

 昨年は、第十一次五カ年計画(二〇〇六―一〇年)のスタートの年として、安定的で比較的速い経済発展の実現が重視されました。

 昨年の経済成長率は10・7%、国内総生産(GDP)は二十兆九千四百七億元(約三百二十五兆円)となりました。貿易総額は一兆七千六百七億ドル(約二百十兆円)で、前年比23・8%増でした。

 こうした成果は、第十一次五カ年計画を軌道に乗せる上で大きな役割を果たすとともに、今年秋に予定されている中国共産党第十七回大会を迎える上で、「良好な環境と条件」をつくるものと評価されています。

 同時に、経済発展のなかで解決を迫られている「突出した矛盾や問題」(二月十五日、政府活動報告を討議した党中央政治局会議)が数多く存在します。都市と農村、沿海部と西部、社会の階層間で、格差が広がっています。

 現行五カ年計画では「三農問題」(農業、農村、農民)を重視し、「社会主義の新農村」の建設が重点課題とされています。そのためには農民に実益をもたらす息の長い施策と財政面での手当てが必要です。

 工業化による環境汚染や生産現場での大事故続発など、国民や労働者の生活・安全にかかわる問題も重大です。中国政府はエネルギー資源の節約を呼びかけ、環境保護のために先進国から積極的に技術を導入しようとしています。

 中国の党・政府は「科学的発展観」を提唱し、高い経済成長だけを追求するのでなく、環境との調和や地域間の均衡のとれた発展をめざすことを方針としています。

 現在、中国政府が力点を置いているのは、民生問題と、社会の「公正・正義」の擁護です。

 党・政府官僚の重大な汚職事件が相次いでおり、社会の「公正・正義」を実現する課題は、制度的面からの探究も必要な段階になっています。「調和のとれた社会」に反する汚職行為には国民の厳しい目が向けられています。政府が危機意識をもって汚職根絶に取り組むかどうかは、調和社会をつくるうえでの試金石となっています。

 首相の政府活動報告で台湾問題や「調和のとれた世界」を目指す外交政策でどのような方針が示されるかも内外の注目を集めています。


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