2007年2月26日(月)「しんぶん赤旗」

主張

クラスター爆弾

全面禁止の条約づくりめざせ


 ノルウェーのオスロで開かれていたクラスター爆弾禁止条約づくりをめざす国際会議が、二〇〇八年末までに条約を締結することをもりこんだ宣言を採択し、閉幕しました。クラスター爆弾の使用禁止のための努力を強めるドイツやベルギーなど二十五カ国と関心をもつ諸国合わせて四十九カ国、国際人道諸団体が参加しました。

 オスロ宣言をはずみにして、クラスター爆弾の全面禁止につなげていくことが求められます。

妨害する軍事大国

 クラスター爆弾は、親爆弾から放出されるたくさんの子爆弾が広い範囲に飛び散って爆発し、滑走路を穴だらけにして使用を不能にしたり、建物や車両を破壊したりする兵器です。不発弾になる率も高く、地雷化した子爆弾をにぎりしめたり、ひもを引けば爆発するようになっています。投下後地上に残存した子爆弾が罪のない民間人、とくに多くの子どもの命を奪い、後遺症で苦しめています。

 米軍は、コソボに続きイラクやアフガニスタンなどでも多用しています。イスラエル軍もレバノンで使用しています。自国内ではなく、他国を侵略するなかで使用しているのが実態です。軍事的効率を優先して、罪のない民間人を殺傷するのは国際人道法にも違反するものです。とうてい許されることではありません。

 多くの国際人道団体や国連機関からクラスター爆弾の使用に批判が強まっているのは当然です。このため、特定通常兵器使用禁止・制限条約(CCW)の締約国(二月現在百二カ国)会議も、クラスター爆弾をどうするか議論をするようになってきました。しかし、使用禁止を議論の論点にしていません。戦争で多用するアメリカなどが温存をおしつけているからです。

 今回、ノルウェー政府がオスロ国際会議を呼びかけたのも、CCW締約国会議にまかせておいてはいつまでもクラスター爆弾を禁止できないからです。

 参加四十九カ国のうち四十六カ国が賛成して、来年末までに禁止条約をつくることに合意したことはきわめて重要です。

 同じ非人道的兵器の対人地雷の禁止では、アメリカなどが渋ったものの一九九七年の約百カ国と国際人道団体が集まったオスロ国際会議が条約草案をつくったことがはずみになって対人地雷禁止条約づくりを促進、発効させた経験があります。

9条を持つ国として

 各国が宣言にそって外交努力を強めるとともに、会議不参加のアメリカなどを含めCCW締約国会議がオスロ宣言を積極的に受け止め全面禁止に向けた議論を本格化させることが重要です。

 日本は会議に参加しながらポーランド、ルーマニアとともにオスロ宣言に反対しました。当初日本は招待国に含まれていなかったため、希望をだして参加に至った経緯があります。にもかかわらず、クラスター爆弾に固執する態度をとったことは重大です。

 坂場外務報道官は「安全保障上必要」「人道上だけを優先して賛成だとストレートに行きにくい」(二十二日)とまでのべています。

 憲法九条をもつ国として、非人道的兵器禁止の先頭に立つことこそ日本の国際的責務です。

 政府は、全面禁止をめざすとともに、その第一歩として自衛隊が持つクラスター爆弾の使用をすべて禁止すべきです。


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