2007年2月20日(火)「しんぶん赤旗」

主張

事務所費疑惑

法律をタテに逃げるのか


 家賃がただの国会の議員会館に政治団体の「主たる事務所」を置きながら、巨額の「事務所費」を政治資金収支報告に計上していた問題が、「しんぶん赤旗」の報道をきっかけに大きな問題になって二カ月近くになります。巨額の「事務所費」は何に使われたのか、虚偽報告ではないのかと疑惑を抱かれているのに、解明はすすんでいません。

 とりわけ見過ごせないのは、伊吹文明文部科学相や松岡利勝農林水産相が、現職閣僚であるにもかかわらず、国会で追及されても「違法なことはやってない」と、疑惑解明に背を向け続けていることです。

自ら解明してこそ

 国民から選ばれた政治家である以上、自らにかけられた疑惑は、自ら解明するのが当然の責務です。とりわけ現職閣僚という権力の座にある政治家が、自らにかけられた疑惑を解明するどころか、“違法でなければなにをやってもいい”といわんばかりの態度をとり続けるのは、法律をタテにした居直り・開き直り以外のなにものでもありません。

 二〇〇五年の一年間だけ見ても、伊吹文科相は四千百四十六万円、松岡農水相は三千三百五十九万円もの事務所費を計上しています。政治資金収支報告書で、事務所費は「家賃、火災保険、電話代、切手代、その他事務所の維持に通常必要なもの」とされ、その細目の報告や領収書の添付は必要でないとされているため、内訳は不明です。疑惑をかけられた現職閣僚は、二人だけです。

 法が定める通り、使途が限定された事務所費ならば、一千万円を超えるような巨額になること自体、不自然きわまりないことです。しかも伊吹、松岡両氏に解明が求められている疑惑は、金額がずば抜けて大きいというだけでなく、これまでの二人の説明では何に使われたのかという疑惑がいっそう深まるものです。

 伊吹文科相が一月はじめ「しんぶん赤旗」などで報道されたあと大慌てでおこなった記者会見では、本来事務所費に計上することがふさわしくない会食費なども計上したと本人が明かしました。松岡農水相も、直前に事務所費の不正流用で辞任した佐田前行革担当相を意識してか「架空のものや付け替えはない」と釈明しましたが、今日に至るまでその根拠はまったく示されていません。

 「違法なことはやっていない」と逃げおおせるものではありません。

 伊吹、松岡両氏は、事務所費への経費の計上について、「いちいち総務省と相談したうえでやった」といいますが、これもまやかしです。政治資金収支報告書を受理する総務省政治資金課は、「実質的な審査といいますか、内容にかかわる調査なり判断なりを行うまでの権限はない」(一月十五日、松田隆利事務次官)というように、政治団体が提出した報告書を受理し、公表するだけの権限しかもっていません。国のお墨付きを得たようにいう両大臣の弁明は、まったく根拠を欠いています。

会計資料の公表を

 伊吹、松岡両氏は、「違法なことはやっていない」と、法律をタテに逃げ込まず、現行規正法でも記帳と保存が義務付けられている帳簿などの会計資料を公表して、まず国民への説明責任を果たすべきです。

 現職閣僚が疑惑解明に背を向けていては、「事務所費」問題で国民の納得を得ることなど出来るはずがありません。現職閣僚が居直りを続ければ、任命権者としての責任を放棄し、手をこまねく安倍首相への批判がいっそう高まるだけです。


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