2007年2月19日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

母子家庭に“春”を

励まし合い 行動し合って

私だけじゃない 頑張るパワーに


 ひとり親家庭とりわけ母子家庭での貧困が深刻になっています。子どもの成長の可能性が奪われかねない事態が生まれている中、励ましあいたたかいながら子育てをしているグループがあります。福島県須賀川(すかがわ)市にある「フリーママサークル」の人たちです。


新婦人の要求別小組 フリーママサークル

福島県須賀川市

地図

 私たち「フリーママサークル」は新日本婦人の会須賀川支部の要求別小組の一つで、四年前に結成されたシングルマザーの集まりです。

悩みを相談し

 二〇〇二年にシングルマザーの小山田智枝さんが参考人として参院厚生労働委員会で、母子家庭の切実な実態を訴えました。しかし、自民・公明・民主は児童扶養手当削減法を強行しました。その時の悔しさを胸に、支給開始から五年での減額は絶対させないと、署名用紙を片手に仲間を増やしてきました。

 現在八人の仲間がいます。毎月最低一回は集まって、情報交換したり、悩みを相談しあったりしています。時には芋煮会やクリスマス会などを楽しく企画し、親子の触れ合いや、仲間との親睦(しんぼく)も深めています。

 これまでに、児童館の開館時間の延長や、新小学一年生が四月一日から児童館に入れるよう市に要望し、実現しています。就学援助費を年三回学校に昼間取りに行くのは、働きながらでは大変なので利用しやすくしてほしい、国庫負担の引き下げにより就学援助制度の引き下げが懸念されたので、引き続き受けられるよう市教育長と懇談もしました。

国会要請、市教育長懇談も

NHKで報道

 今、働く環境が厳しい中、私たちも大変な状況です。昼・夜働かなければ生活できない人。ファミレスで九年も働いているのに時給が上がったのはわずか七十円で、いまだにパート扱いの人もいます。四十代で離婚し手に職もないため、弁当工場で時給が高い夜働くしかなく、朝息子を学校に送り出せるのは、仕事が休みの日だけという人などさまざまです。

 その実態は、NHKスペシャル「ワーキングプアII」で報道されました。

 八日に行われた新婦人の国会要請行動には、サークルの代表三人も参加しました。交渉で、厚労省担当者の総合的な自立支援施策をやっているとの回答に、就業自立支援策は、窓口あって求人なしの状況だと中身は何一つない実態を突きつけたところ、担当者はあぜんとしていました。母子家庭の実態を政府はまるで分かっていないのだと感じました。

中身なし支援

 十三日の衆院予算委員会総括質問で日本共産党の志位和夫委員長が、児童扶養手当削減、母子加算廃止に対して、“母子家庭の命綱を断つな”と強くせまりましたが、柳沢伯夫厚労相は児童扶養手当の大幅削減について、「二分の一は保障」すると冷たい答弁をしました。母子家庭の実態も知らないで、支援策も中身がないのに、よく言えたものです。

 子どもに我慢させ、寂しい思いをさせながら、こんなに一生懸命働いているのに、どれだけ働けば政府のいう“自助努力”に値するのでしょうか? 自立支援の充実と児童扶養手当削減反対を求めて、みんなで力をあわせ活動を続けていこうと張り切っています。(フリーママサークル責任者・鈴木さと美)


私たちの切実な声を聞いて

心配な児童扶養手当減額

 鈴木香代さん(36)=小4、小3= 「お母さん、今日は仕事お休みにして」という子どもたちに、「お母さんが仕事しないと、ご飯食べていけないでしょ」と言って夜仕事に出かけます。深夜時給は大きいので、子どもたちには我慢させてばかりです。5年後、子どもは高校生。児童扶養手当が減額されたら、子どもたちに今まで以上に我慢させることになるのでしょうか。

子ども、生活を守るため

 鈴木さと美さん(32)=小6、小4= 子どもを守るため、生活を守るため、自分たちの要望や要求をもちより、活動してきたフリーママサークル。みんなと話すたび、「私だけじゃない。みんなも大変なんだ」と、頑張るパワーがわいてきます。この仲間たちと一緒に、今年は児童扶養手当削減反対の運動に全力をあげてとりくみ、子どもと安定した生活ができる社会になるよう、活動していきたいと思っています。

母子加算なくなったら困る

 我妻由美子さん(40)=中2、小6= 息子が中1の時、いじめが原因で不登校になり、私もとても悩み、うつ状態になってしまいました。働くことができなくなり、今は生活保護を受けています。4月から娘は中学生に、息子も高校に通うかもしれません。母子加算がなくなったら、とても困ります。安心して子育てができるよう、母子家庭をきちんと守ってほしいです。

黙って引き下がりません

 小山田智枝さん(37)=中3= 1998年に児童扶養手当の所得限度額が大幅に引き下げられ、昼夜寝ずに働いていたにもかかわらず、全額支給から一部支給に手当が減額されました。その悔しさを当時は誰にも言えなかったけど、今は仲間がいます。井上美代元日本共産党参議院議員が、私を参考人として国会に呼んでくれました。すべてはそこから始まりました。「このまま黙って引き下がると思うなよ! 私には新婦人がある!!」

現実面での助けこそ必要

 新道良子さん=仮名=(39)=小3、年長= 母子家庭が増加しているからといって、児童扶養手当の削減が行われることは、制裁やけん制に受け取れます。一番被害を受けるのは、次世代を支える子どもです。児童扶養手当の一律削減には、最低収入を定め、それに満たない世帯の保護が必要だと思います。自立のため、資格取得中の生活を保障するなど現実面での助けが母子家庭支援に求められています。

子と触れ合う機会増えたが

 藤沢桜子さん=仮名=(51)=小6= 楽しそうにしているみんなを見、子どもと触れ合える機会が増え、子ども同士で遊んでいる姿を見た時、こういう時間が大切なんだなぁと感じました。それに児童扶養手当削減反対の運動をしているみんなの気持ちにひきこまれフリーママサークルに入りました。まだ入ったばかりですが、みんなと頑張っていきたいと思います。

サークルで貴重な知識得る

 木田こずえさん(39)=小5、小4、小1= フリーママサークルに入って貴重な知識を得られました。児童扶養手当削減問題などとともに、市議会や国会を身近に感じさせてもらえて、私の中の意識改革ができました。この意識改革は、生活を潤す結果につながります。1月から東京に引っ越しましたが東京でもフリーママサークルとかかわっていきたいと思います。


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