2007年2月19日(月)「しんぶん赤旗」

主張

製品事故

安全のルールを最優先に


 ガス瞬間湯沸かし器や石油ファンヒーターによる死亡事故、自動車のタイヤ脱落による死亡事故、パソコンなどの内蔵電池の爆発事故、大手菓子メーカーの消費期限切れ原材料使用問題などが、毎日のように報道されています。

 家庭電化製品、自動車、食料品など、さまざまな欠陥製品による死亡事故、危害事故が、消費者の不安を高めています。国民生活センターが昨年末に発表した「消費生活相談にみる二〇〇六年の十大項目」でも、そのトップには「身近な製品や設備による事故」があげられています。

事故情報生かしてこそ

 一九九五年七月に施行された製造物責任法(PL法)で、製品の安全性の欠陥によって発生した損害については、企業側の過失を証明しなくても賠償を要求できることになりました。また二〇〇四年六月に施行された「消費者基本法」では、「安全を害する恐れがある商品情報の収集・提供」の実施が国に求められることになりました。昨年十一月には、製品事故に関する事業者の報告義務などを盛り込んだ、消費生活用製品安全法も改正されました。

 こうした法的規制にもかかわらず、欠陥製品の事故の公表と改修などの対応の遅れが相次いでいるのは、企業の事故隠しが後を絶たないこととともに、それぞれの事故情報をつかみながら安全対策に生かしてこなかった国に責任があります。

 消費者保護、救済を徹底するには、被害者に事故と欠陥製品との因果関係の立証を求めている現行製造物責任法の改正・強化も必要です。

 同時に、企業には、こうした法的ルールの整備とあいまって、製品の安全性を守るための法令順守(コンプライアンス)が厳格に求められます。製品の安全性を確保することは、企業にとって最優先の課題であり、社会的責任です。

 見過ごせないのは、最近、欠陥製品が発覚しても企業の経営者が釈明に終始するだけだったり、責任をなすり合うなど、企業倫理を疑わせる事例が増えていることです。長期間にわたって対策をおこたり、消費者の信頼を失い、経営危機に陥る企業も生まれています。

 欠陥製品続出の背景としては、単に不祥事を起こした一部の企業や経営者の問題にとどまらず、消費者の声よりも株主への配慮をなによりも優先させ、当面の利潤を追求する「株主資本主義」化の傾向の強まりもあると指摘されています。それは、欠陥製品を出している企業のなかに、日本経団連の役員企業など、日本を代表する巨大企業が含まれることにも示されています。

 日本経団連は、すべての企業と経営者に高い倫理を求める「企業行動憲章」を一九九一年に制定し、たびたび改定強化してきています。

消費者優先の経営こそ

 その経団連の「憲章」の第一項では、「社会的に有用な製品・サービスを安全性や個人情報・顧客情報の保護に十分配慮して開発、提供し、消費者・顧客の満足と信頼を獲得する」とかかげ、欠陥製品などはけっして許さないことを誓っています。

 こうした「憲章」も、利益最優先の経営主義が横行するようになれば、有名無実なものとなりかねません。

 国の責任を明確にするとともに、消費者の声より株主の声を優先させる企業の経営姿勢をあらためることが重要です。開発、製造、販売、消費にいたるすべてのプロセスで製品の安全性に責任をもつ経営を貫くことが、改めて強く求められます。


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