2007年2月18日(日)「しんぶん赤旗」

働くルールの確立は雇用と地域経済守る

2・17全国交流集会

市田書記局長が国会報告


 雇用と地域経済を守る全国交流集会(十七日)で、日本共産党の市田忠義書記局長がおこなった国会報告(要旨)は次の通りです。


写真

(写真)国会報告する市田書記局長

 この集会は、職場から二つの無法――長時間労働、サービス残業と偽装請負を一掃するたたかいの新たな前進のなかで迎えています。偽装請負では、徳島の光洋シーリング、日亜化学のたたかいで青年労働者の直接雇用をかちとりました。サービス残業では、「すき家」に働く六人の青年労働者が立ち上がり、一万人分の未払い残業代を支払わせました。非正規の未組織の労働者が、各地で労働組合をつくって要求を一歩前進させました。

 この流れをさらに大きく広げるために、引き続き全力を挙げて奮闘するものです。

世論と運動が追いつめた

 安倍首相は、今国会を「労働国会」にするといっていましたが、目玉政策の“長時間労働野放し・残業代取り上げ法案”(ホワイトカラー・エグゼンプション)の今国会提出断念を表明せざるを得ませんでした。全労連や連合が導入阻止のたたかいを強め、マスコミも批判しました。日本共産党は、日本経団連が二〇〇五年に導入を提案したさい「サービス残業を『合法化』せよという策動だ」と批判し、昨年十二月には、労働法制改悪阻止闘争本部を設置し、法案のねらいと本質を告発してきました。

 世論と運動が政府を追いつめたといえます。このことに確信を持ち、政府・与党が完全に断念するまでたたかいを強めようではありませんか。

 国会論戦では、非正規労働者の増大や貧困と格差のひろがりが熱い焦点になっています。

最賃抜本改善働く貧困打開

 たとえば、ワーキングプアの土台にある最低賃金制の問題です。政府は四十年ぶりに最低賃金法を改正し「生活保護との整合性に配慮する」を盛り込むといいます。これは、低すぎる最低賃金の実態を告発し、制度改善を求めてきた全労連などの運動の反映です。

 現行では、地域ごとの最低賃金の平均は六百七十三円です。年間三千時間働いても年収二百一万円にしかなりません。最低賃金の抜本的引き上げなくしてワーキングプアの解決はできません。志位和夫委員長は予算委員会で、欧州の最低賃金が平均賃金の四―五割であるのにたいし日本は32%であることを示し、抜本的引き上げと全国一律最賃制度の確立を迫りました。

 民主党も、今国会を「格差是正国会」と名づけ、「非正規の著しい増加の原因は、度重なる派遣法制の変更にある」と政府を批判しました。しかし、よく胸に手をあてて考えてほしい。民主党は一九九九年の派遣対象を原則自由化した労働者派遣法改悪にも、九八年の裁量労働制の対象業務の拡大にも賛成してきました。これには社民党も賛成しました。

 その根底には、経団連に通信簿をつけてもらい、大企業への忠誠度に応じて政治献金を受け取っている、自民党とかわりない民主党の実態があります。これで大企業の横暴に立ち向かい、貧困と格差を打開することができるのでしょうか。

無権利打破へ答弁を生かし

 日本共産党は、労働法制改悪に反対し、職場や地域の切実な要求を重視し、それと結んだ国会論戦をおこない数々の成果を上げてきました。

 サービス残業問題では、七六年に故沓脱(くつぬぎ)タケ子さんが取り上げていらい、二百四十回を超える質問をし、〇一年四月には、サービス残業根絶の厚労省通達を出させ、〇五年度だけで二百三十三億円の未払い残業代が支払われました。

 偽装請負は請負労働者のいる企業の六割で横行しています。低賃金・無権利の労働者を使うことで大企業百四十三社は、二百四兆円の利益をためこんでいます。この問題を党の国会議員が追及し、私も昨年十月の予算委員会でとりあげました。安倍首相は「ワーキングプアといわれる人たちを前提に、生産の現状が確立されているのであれば、それは大問題」「法令に違反した行為に対してしっかりと対応する」と答弁をしました。さらに一月三十一日の代表質問に派遣労働者を受け入れている企業にたいしても「厳格に指導していく」と答弁しました。

 安倍首相の答弁は、急速に増えている派遣労働者の権利を守るうえで大きな意義を持つものです。低賃金と無権利状態にある派遣労働者にたいし、この答弁を力にして、労働組合をつくり、待遇改善とみずからの要求を実現していこう、とよびかけましょう。

 参議院議員選挙後には、ホワイトカラー・エグゼンプションはもちろん、金銭での解雇自由化、企業の直接雇用義務を廃止する派遣法改悪の攻撃、さらに、戦後の民主的労働法制の破壊をねらう「労働ビッグバン」の攻撃が用意されています。

社会的連帯で反撃の行動へ

 二大選挙に勝利して、この逆流を阻止しようではありませんか。二つの無法の根絶と、ワーキングプアに象徴される貧困と格差の拡大にメスを入れ、人間らしく働くルールを確立することは、労働者の生活と労働の権利を守るだけにとどまらず、雇用と地域経済を守り、日本経済の活性化を図ることにも直結します。

 この集会を自民党政治によってつくりだされてきた貧困と格差の増大に対して、社会的連帯で反撃する行動の一大出発点にしようではありませんか。


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