2007年2月14日(水)「しんぶん赤旗」

こちら社会部。

ロコ・ロンドン金取引

年金生活の高齢者標的

被害訴え相次ぐ


 本紙四日付「こちら社会部。」で取り上げた「『ロコ・ロンドン』金取引にご用心」の記事を読んで、少ない年金で暮らす高齢者などから、被害の訴えや問い合わせが相次いでいます。


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(写真)高金利をPRする「ロコ・ロンドン」の宣伝資料

 「ロコ・ロンドン」商法では、業者が、初めは少ない金額から始めさせ、「もうかった」「損失が出た」などと言葉巧みに、次から次へと資金を要求。数日で多額の損失を生むこともあります。

 千葉県内で暮らす飯島正さん(83)=仮名=は昨年十一月、電話でロコ・ロンドンの勧誘を受けました。その後すぐに「実直そうな男性」が家を訪れ、五十万円を預ければ一年で五万七千円の金利が「確実に入る」と説明しました。

 政府の税制改悪で、住民税や国民健康保険料などで年間二十万円も自己負担が増えるという飯島さん。「生活のため少しでも貯金をふやしたい」。そんな思いから五十万円を預けました。

元本割れも

 その三日後、業者はふたたび飯島さんの家を訪れました。大手新聞に載った金相場のグラフを見せ、「かなり相場が良くなっている。もう一口どうですか」と勧誘。飯島さんは、さらに五十万円を預けました。

 その後、「しんぶん赤旗」でロコ・ロンドンの危険性を知り解約を申し出ました。業者は「すぐにはできない。解約したとしても、一口三十万円にもなるかどうか」と元本割れを主張しているといいます。

巧妙な手口

 「安全だと思ったからお金を出したのに…。内容が分からないまま契約してしまった」と飯島さんは悔しがります。

 東京都内に住む男性(74)は、「11%」という高金利にひかれて、貯金をつぎ込みました。業者は「もうかったから、もっと買いませんか」と電話で再度、勧誘してきました。

 男性が新たに資金を追加した翌日に、「損失が出た」という業者。損失を埋めるため「追い証(おいしょう=信用取引の追加徴収分)」として、さらに資金を要求してきたといいます。

 男性は、「非常に巧妙な手口だった。ことを荒立てたくないが、元金を取り戻せるかどうか」と不安を語ります。

 金融商品被害に詳しい荒井哲朗弁護士は、「ロコ・ロンドン」商法による被害が急増する背景について、二〇〇五年に改正された金融先物取引法のあり方を指摘します。

 同法は「外国為替証拠金取引」でトラブルが多発したことから、電話などで無差別に一般消費者を勧誘してはならないとする「不招請勧誘の禁止」、登録制度の導入などの規制を設けました。

 これにより悪質業者は、「外国為替証拠金取引」から撤退。その多くが勧誘しやすく、登録や免許などがいらない「ロコ・ロンドン」にくら替えしたと見ています。

 さらに荒井氏は、「ロコ・ロンドンは賭博行為である」として、違法性を指摘。法規制の強化を訴えています。

きょうから110番

 全国の弁護士有志でつくる「先物取引被害全国研究会」(代表・山崎敏彦弁護士)の呼びかけに応じて、各地の研究会や弁護士会は、多発する金融商品被害対策として、十四日から全国で一斉「先物取引被害110番」をおこないます。先物取引をはじめとして、ロコ・ロンドンや金融商品被害の相談を受け付けます。各地の番号は、http://futures.ferio.net/fc/kenkyukai/hotline/next.htm に掲載されています。


 ロコ・ロンドン金取引 金の証拠金取引の一種。業者に「証拠金」(保証金)を預け、その金額を大きく上回る取引をおこなうもの。元本割れの可能性の高い危険な金融商品です。


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