2007年2月7日(水)「しんぶん赤旗」

クーデターに加担 問われるメディア

放送免許更新めぐり論争

ベネズエラ


 違法な軍事クーデターに加担したテレビ局の放送免許更新をめぐってベネズエラで論争が起きています。放送関連法に違反したメディアへの免許更新はありえないとする政府と賛成派に対し、チャベス政権に反対する野党勢力は「表現の自由の侵害だ」と反発して、両派がデモや集会で訴えています。(メキシコ市=松島良尚)


 チャベス大統領は昨年十二月二十八日、「クーデター策謀者である民間テレビ局RCTVの放送免許は更新されない」と述べました。同局の免許は五月に切れます。

 RCTVを含むベネズエラの四大民間テレビ局は、二〇〇二年に反チャベス大統領派の軍部や経済界が米国を後ろ盾にして起こしたクーデター事件に積極的に加担しました。反チャベス派のデモへの参加を呼びかけたり、チャベス政権がデモ隊に弾圧を加えていると繰り返し報道しました。しかしこれは後に軍部にクーデターの口実を与えるために仕組まれたものであることがわかり、一連の報道は内外の批判を浴びました。

 当時のRCTVについては、オーナーのグラニエル最高責任者が、政権側のメッセージは一切放送するなと現場に命令していたことが国会の調査委員会で明らかになっています。

 チャベス大統領の発言後、ランヘル前副大統領は、法にもとづく許認可はどこの国でも政府の権限だと指摘。「政治的報復だ」とか「メディアを弾圧」との非難は当たらないと強調しました。

 ララ通信情報相は、RCTVが通信組織法とラジオ・テレビ社会責任法に違反していると指摘しています。二〇〇〇年に発効した通信組織法第一〇八条は、「国家の安全保障に関して重大な状況が生じ、大統領が不適切と判断する」場合、免許は授与されないと規定しています。

 〇二年のクーデターには民間主要テレビ四局が加担しましたが、〇四年八月の国民投票でチャベス大統領罷免が否決されると、一部の局は米国の民間団体カーターセンターなどの勧告を受けて放送関連法の順守を約束しました。

 ただRCTVのグラニエル氏は政府の方針について、「報道の自由への侵害だ」として法廷で争う構えです。また、RCTV側の働きかけをうけて米州新聞協会「報道の自由委員会」のマロキン委員長は、他のテレビ局への影響に懸念を表明しました。米州機構(OAS)のインスルサ事務総長は声明を出し、違法行為は法廷で告発すべきだとしてチャベス大統領に再考を促しました。

 一方、ベネズエラ国内の地域共同放送局などは二日、「通信の民主主義化への前進だ」とする政府支持の文書をララ通信情報相に手渡しました。中立系紙ウルティマス・ノティシアスのディアス編集長は、「政府の措置は法にもとづいている。RCTVがクーデターや石油ストのさいに行動に出ず、メディアとしての批判路線を堅持していたら問題にならなかった」と述べています。


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