2007年2月2日(金)「しんぶん赤旗」

主張

厚労相罷免問題

居直る大臣、かばう首相は同罪


 柳沢伯夫厚生労働大臣が、女性を「子どもを産む機械」と発言(一月二十七日、島根県松江市で)したことをめぐって、日本中に批判が広がっています。海外のメディアも、「嵐のような抗議を呼び起こした」(英紙スコッツマン二十九日付)「世論は追及の手をゆるめず辞職を求めている」(シンガポール紙聨合早報二十九日付)「(発言への)波紋が日を追うごとに大きくなっている」(韓国紙文化日報三十日付)と報じています。

人権感覚が問われる

 女性の人間としての人格と尊厳を否定する柳沢大臣の発言への国民の怒りが、世界のメディアを通して映し出されています。柳沢厚生労働相の辞任・罷免を求める声は日ごとに大きくなっています。

 衆参本会議の代表質問で、日本共産党の志位和夫委員長、市田忠義書記局長が柳沢厚生労働相の罷免を求めたのにたいし、安倍首相は、反省と陳謝を繰り返したものの、「職務を全う」して「結果を出す」として、罷免を拒みました。

 首相のかばいだてが、柳沢大臣をつけあがらせています。「与えられた仕事を一生懸命にし、成果でもって安倍首相の厚意に報い、国民の皆さんのお役に立ちたい」(一日)とまでいっています。

 柳沢発言は、人間として許されないのはもとより、少子化問題を含む福祉、健康、労働の分野で国民の人権を守ることを職責とする厚生労働大臣として、許しがたいものです。少子化の原因を女性にあるかのようにのべ、政治の責任をまったく免罪している点でも厚生労働大臣としての資格がありません。職務を全うする前提が壊れているのに、“国民のお役にたてる”はずもありません。

 かばいだてを続けるなら、安倍首相も同罪です。もし罷免できず、けじめがつけられなければ、「安倍内閣全体の人権へのモラルが、柳沢大臣と同じレベル」(日本共産党の首相への申し入れ)になります。

 問われているのは首相の人権感覚、憲法感覚です。柳沢発言が「女性の心を痛めた」と首相はいいますが、女性の人格と尊厳を否定する深刻な発言と受け止めるのかどうかが問題です。人格否定に「近い発言と思う」(塩崎官房長官)というなら大臣としての資格はありません。

 海外メディアは、「野党から辞任要求を受けているだけでなく、政府与党内の反応も冷淡だ」(韓国紙東亜日報三十日付)と伝えています。公明党の浜四津代表代行は、厚労相発言が「女性に対する侮辱だ、不適切だ、という声が私のところにもたくさん届いている」(公明新聞二月一日付)といいながら、柳沢厚生労働相の続投を容認しています。安倍内閣全体と同じく、人間としての人格と尊厳の問題ととらえるのかどうかが、与党全体に問われます。

罷免するしかない

 政府・与党が、柳沢厚生労働相の罷免を拒否する一方で、衆院予算委員会の審議を単独で強行したのは言語道断です。日本共産党は一方的な開会、審議に抗議して予算委員会を退席しています。

 安倍政権は、昨年九月の発足以来、十二月には本間正明政府税調会長や佐田玄一郎行政改革担当相の不祥事が発覚して辞任しています。政権の維持や選挙目当てで、大臣の進退を判断するとなれば、まさに女性の人格と尊厳より党利党略を優先する許しがたい事態です。

 国民の声にこたえるには、柳沢大臣を罷免する以外にありません。


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