2007年2月1日(木)「しんぶん赤旗」

CS放送「各党はいま」

志位委員長が語る

国会序盤の論戦と共産党の立場


 日本共産党の志位和夫委員長は三十日放映のCS番組朝日ニュースター「各党はいま」に出演し、同日の代表質問をふまえ通常国会に臨む姿勢などについて、根本清樹・朝日新聞編集委員のインタビューに答えました。


貧困と格差―認識がないことが大問題

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(写真)質問に答える志位和夫委員長

 ―国会序盤で代表質問を終えての感想は。

 志位 私は、母子家庭など具体的な実態を示して聞きましたが、安倍首相の答弁は国民の暮らしの痛みへの認識がまったくないものでした。予算のあり方として税と社会保障によって所得の再配分をすることが大事だと問題提起しましたが、これについても相変わらず“大企業が潤えば利益が滴り落ちて庶民のくらしがよくなる”という、破たんした「成長戦略」の繰り返しでした。

 労働法制の問題で首相は「サービス残業」、「偽装請負」という無法の根絶についてはとりくむと答弁しました。しかし、「ホワイトカラー・エグゼンプション」―残業代取り上げ法案については、「いま理解が得られていない」というだけで、理解が得られれば進めるという立場でした。

 最低賃金制の問題について、抜本的引き上げは中小企業がつぶれてしまうといいましたが、実際には大企業による単価買いたたきなどの下請けいじめがあります。これを抑えて最賃引き上げをやれば、解決の道が開けます。全国一律の最賃制度も拒否し、労働問題でまともなルールを築く姿勢がありませんでした。

 ―施政方針演説には貧困も格差も一言もない。

 志位 その認識がないことが問題なのです。いま起こっている格差問題は、全体が豊かになるなかでの格差の広がりでなく、国民所得が下落するなかで格差が広がるところに深刻な問題があります。つまり、今日の格差問題の本質は貧困問題なのです。ところが、その認識が首相にはまったくない。

 ―「ワーキングプア」(働く貧困層)の実態を調査しないといったが。

 志位 きちんと実態を調査すれば数字が出てくるはずです。いくら「再チャレンジ」といっても、実態が分からないままでの対策はむなしいだけです。

改憲掲げる首相―正面から論戦する

 ―安倍首相が改憲を参院選の争点に掲げ、民主党は生活、くらし、格差の問題をいっているが。

 志位 私たちは貧困と格差の問題が一番大きいと思っていますが、同時に相手が憲法の問題をいってくる以上は、正面から堂々と論戦します。憲法と生活のどちらが重要かという立て方でなく、それぞれ重視して、民主党のように逃げる立場は取りません。

 ―首相は改憲手続き法案の成立に意欲的だが。

 志位 首相は憲法九条が改定の対象だと答弁しました。改憲手続き法は九条を変えることと一体であり、中立的なものではありません。中身についても、投票率の最低ラインがないなど改憲派に有利な条項がたくさんある。九条改定のよこしまな狙いと一体であることを追及していきたいと思います。

 世論調査でも今度の国会で通してほしいという声は少数です。国民的な世論と運動との連携を強め、正面から論戦にとりくみたいと思います。

柳沢厚労相発言―政権の土台が崩れつつある

 ―柳沢厚労相の「産む機械」発言など政権側にほころびが出ているが。

 志位 政権全体の土台が崩れつつあるという感じがします。各大臣にも緊張感がないなかで本音が出てきている。柳沢厚労相の発言は、女性を人間として認めず人格と尊厳を否定するもので、最低・最悪の発言です。私は厚労相の資格がないと罷免を要求しましたが、首相が職にとどめておくとすれば、内閣全体のモラルが同じ程度だという問題になります。

「事務所費」問題―自民、 民主に自浄能力問われる

 志位 くわえて伊吹文明文科相、松岡利勝農水相に対し「事務所費」問題で「領収書と帳簿の公開を」と求めましたが、両大臣とも「公開はせず」との答弁でした。

 この問題では、両大臣に質問したのが日本共産党だけだという点が重要です。民主党は両大臣に聞かなかった。自らの疑惑が指摘されているからです。民主党に対しても言いたい。「問題がない」というなら自ら公表すればいい。“与党が事実を明らかにすれば自分たちも資料を出す”というのでは追及になりません。自民党にも民主党にも自浄能力が試されます。

 ―民主党も弱点を抱えて攻め込めないのか。

 志位 民主党にとってはジレンマでしょう。憲法の問題では与党と改憲という同じ流れにいますから、最大の対決法案である改憲手続き法案で立場が定まらない。単に与党、野党というだけで国会状況を判断せず、具体的な対応をみていく必要があります。


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