2007年1月30日(火)「しんぶん赤旗」
中国主席、アフリカ歴訪へ
途上国協力強化目指す
【北京=菊池敏也】中国の胡錦濤国家主席は、三十日から十二日間の日程でアフリカ八カ国を歴訪します。今年の中国の本格的首脳外交は、アフリカからスタートが切られ、発展途上国同士の南・南協力の強化がはかられます。胡主席としては二年連続のアフリカ諸国訪問です。
今回訪問するのは、カメルーン、リベリア、スーダン、ザンビア、ナミビア、南アフリカ、モザンビーク、セーシェルです。
昨年十一月、北京で開かれた「中国・アフリカ協力フォーラム首脳会議」で胡主席が示した八項目の対アフリカ支援策を具体化し、アフリカとの実務的協力を全面的に促進することが重点とされています。
支援策の主なものは、(1)対アフリカ援助を拡大し、二〇〇九年の援助規模を〇六年比で倍加(2)五十億ドル(約六千五十億円)規模の中国・アフリカ発展基金を設立(3)重債務国・最貧国に対して〇五年に返済期限を迎えた政府無利子借款の債務を免除(4)最貧国の対中輸出商品に対するゼロ関税品目を百九十から四百四十余りへ拡大(5)今後三年間に一万五千人の各種人材の養成をはじめ、農業・医療・教育分野で援助―です。
今回の訪問にあわせて、リベリアで「マラリア予防・治療センター」が開館するなど、中国の対アフリカ支援プロジェクトが実行に移されます。
今回の訪問で、アフリカ諸国がかかえる紛争問題に対して、中国が積極的な調整役を果たす姿勢を示しているのも特徴的です。
胡氏はリベリアで、中国から派遣された国連平和維持部隊を訪問します。また、ダルフール紛争を抱えるスーダンでは、バシル大統領との会談で、この問題で意見交換し、政治手段と平和的交渉による解決への道を探ります。
中国の翟ション外務次官補は、ダルフール問題の解決には「第一にスーダンの主権と領土保全を尊重すべきで、解決案はスーダン政府の同意が必要だ」と強調。政治的対話、平和的交渉を通じた解決の重要性を指摘し、「圧力や制裁は現実的でない。問題を複雑化するだけで、逆の結果となる」と、中国の基本的立場を示しました。
中国とアフリカの「新型の戦略パートナーシップ」の深まりは、貿易面でも示されています。〇五年に四百億ドル弱だった中国・アフリカ貿易は、〇六年に五百五十五億ドル(約六兆七千億円)となり、前年同期比で40%も増加しています。
欧米からは中国が「石油など資源外交」を展開していると警戒する論調が出ています。これに対し中国は、あくまで互恵協力を基礎に、発展途上国同士の南・南協力の強化をはかるものだと反論しています。