2007年1月30日(火)「しんぶん赤旗」

主張

国民春闘

労働組合の組織力の発揮を


 賃下げと長時間労働、雇用破壊、増税と社会保障改悪―大企業の横暴とそれを支援する自民党政治によって、貧困と格差がかつてなく広がる一方、労働法制と憲法の改悪が争点となっています。ことしの春闘では労働組合がその組織力を発揮して、国民的たたかいの先頭に立つことが期待されています。

貧困と格差拡大の元凶

 財界・大企業は「国際競争力の強化」を理由に賃上げを拒否し非正規労働者の拡大を正当化しています。貧困と格差拡大の元凶です。

 一九九五年からの十年間で、労働者の給与総額は二兆八千九百五十五億円も減少しました。成果主義による賃下げと非正規労働者、失業者の増大によるものです。これが個人消費を冷え込ませ、自民党政治の悪政と結びついて、国民のすべての階層で、らせん階段を転げ落ちるように貧困と格差が拡大しています。

 同じ十年間に、資本金十億円以上の大企業の経常利益は二倍以上伸びて、二十九兆四千三百二十六億円にもなっています。まさに労働者を踏み台にし、ワーキングプアをつくりだしての、企業体力の強化です。

 ぼろもうけをため込みながら、労働者にはびた一文まわさない姿勢には、労資協調主義の組合もたまりかねて、協調主義の原点である「生産性三原則」の「生産性向上の成果の公正な分配」を持ち出し、賃上げを要求しています。協調主義的要求さえも否定し、切り捨てるほど、いまの財界・大企業の姿勢は異常なものです。

 労働組合が正面きって賃上げを要求しているのは当然であり、すべての労働者の賃上げの実現は、貧困と格差の拡大にストップをかけ、日本経済を健全に発展させる大きな力となるでしょう。全労連と連合が共通して非正規労働者の賃上げをかかげ、最低賃金闘争を重視していることは、大きな意義をもっています。

 同時に、労働組合が、非正規という不安定な雇用形態自体の改善に本格的に取り組むことが、なんとしても求められています。各地で非正規雇用の青年たちを中心に、労働組合を結成し、あるいは加入して立ち上がっています。請負労働者の直接雇用への道を切り開いたり、雇い止めを撤回させたり、残業代を払わせたりという成果を勝ち取りはじめていることは、労働組合の力と役割をあらためて示した経験として重要です。

 安倍内閣がねらう労働法制の大改悪は、その労働組合の力をそぎ、労働条件の切り下げをやりやすくし、非正規の拡大を促進するものです。

 日本共産党は、「憲法二五条に保障された生存権を守る国民的大運動」を提起し、庶民増税・大企業減税という逆立ち税制をただすたたかいと、労働法制改悪に反対し人間らしい労働のルールを求めるたたかいを二つの熱い焦点として呼びかけています。いずれも、財界・大企業とのたたかいが、同時に政治闘争としてたたかわれる性格をもっています。

 それは憲法九条改悪反対の闘争にも直結します。憲法闘争は、全労連を中心に憲法改悪反対勢力が労働戦線の多数派を形成する大きな可能性をはらんでいます。

いまこそ共同を広げて

 経済闘争と政治闘争とが結びついたとき、労働者はより大きなエネルギーを発揮します。しかも二つの全国選挙は国民を政治的に活性化します。教育基本法改悪反対闘争で国民的立ち上がりをつくりだした経験を生かし、共同を大きく広げ文字どおりの国民春闘にしていきましょう。


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