2007年1月22日(月)「しんぶん赤旗」
主張
通常国会と憲法
改憲推進政権に立ち向かう力
今週半ばの二十五日から、安倍内閣最初の通常国会がスタートします。焦点のひとつが、小泉前政権から持ち越された、改憲手続き法案です。
国会開会を前に先週開いた自民党大会で安倍首相(自民党総裁)は「立党の精神に立ち返って憲法改正に取り組みたい」とのべました。運動方針では冒頭に、「憲法改正の実現を図るため、憲法改正手続き法案の早期成立を目指す」とうたいました。
通常国会は、改憲推進の姿勢をあらわにする安倍政権と、憲法を守り生かすことを願う国民との、大事な対決の場になります。
首相の異常な前のめり
安倍首相は、憲法や教育基本法改悪を「戦後レジーム(体制)からの脱却」と公言してきた、根っからの改憲タカ派です。通常国会を前にした一連の発言は、改憲への異常な前のめりを感じさせます。
年頭所感では「本年は憲法が施行されてから六十年。新しい時代にふさわしい憲法を、いまこそ私たちの手で書き上げていくべき」といいました。その後の記者会見では「私の内閣として改正を目指すことを、参議院の選挙でも訴えていきたい」と明言しました。
改憲の前提となるのが、通常国会での改憲手続き法の成立です。自民党の中川秀直幹事長は、「憲法記念日(五月三日)までに必ず成立させる」と言い出しています。
安倍内閣が改憲を推進するのは、国民が求めているからではありません。日本をアメリカとともに「海外で戦争をする国」にするために、九条などの改憲を求め続けているのはアメリカです。NHKの今年になってからの世論調査では、憲法を「改正する必要がある」は42%、半分にも届きません(九日放送)。マスメディアの調査では「改正賛成」が減り、九条をはじめ憲法の値打ちを見直す意見が増える傾向にあります。
安倍首相が前のめりになる背景には、タウンミーティングの「やらせ」や閣僚などのあいつぐ不祥事で支持率が低下するなか、政権を支持してきた改憲タカ派勢力の不満を解消し、支持の挽回(ばんかい)をめざすという意図も指摘されています。しかしそんなことで改憲が推進されたのでは、それこそ国民はたまりません。
改憲を目指す安倍内閣は昨年末、教育基本法の改悪とともに、海外での活動を自衛隊の「本来任務」とする、「防衛省」法を成立させました。これまでの政府の説明も踏みにじって、集団的自衛権行使の「研究」も進めています。年初に米欧の軍事同盟であるNATO本部で演説した首相は、自衛隊の海外活動を「ためらわない」とまで断言しました。
しかし、何事も軍事一辺倒で解決しようというこうした態度こそ、軍事より外交の役割が大きくなっている世界の流れに反します。「海外で戦争をする国」になるための改憲の企ては、世界からも支持されません。
包囲し、孤立させる
国民が望んでいるわけでも、国民のためになるわけでもない改憲を断念させるには、改憲反対の一点で国民世論を結集し、改憲タカ派内閣を包囲し孤立させることです。
民主党は、参院選挙では改憲問題を争点にしないと避ける姿勢で、対決軸を持ちません。もともとは自民党と改憲を競い、改憲手続き法案についても基本線で一致しています。
日本共産党は草の根の運動と力を合わせ、改憲阻止のために全力を挙げます。国会内外での国民のたたかいとともに、日本共産党の前進が改憲阻止の確かな力になります。