2007年1月21日(日)「しんぶん赤旗」

「事務所費」疑惑 何が問題

井上哲士議員の質問から

不透明な支出で国民に疑念

領収書添付で透明化を


 資金管理団体の「主たる事務所」を賃料のかからない議員会館におきながら、多額の事務所費を計上し、その一部を飲食費にあてるなど不透明性が浮きぼりになった事務所費疑惑。昨年暮れには佐田玄一郎行政改革担当相が不正経理で辞任。「政治とカネ」にかかわる疑惑が次々と広がり、安倍内閣の足もとを揺るがしています。

 この問題は日本共産党の井上哲士参院議員が、昨年十一月二十九日の参議院政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会でいち早く問題としたものでした。さらに本紙が今月三日付でくわしく報道したことで、一般紙や週刊誌もこぞってとりあげ、政界を揺るがす大問題に発展。問題の端緒となった井上質問の主な部分を紹介します。


 井上議員 賃料がいらない衆議院の議員会館を主たる事務所にしていた政治資金の管理団体が三つあります。この三団体が事務所経費を三千万円から四千万円計上している。その三団体は、一つは伊吹文明文部科学大臣の資金管理団体である明風会、これは四千百四十六万円計上しています。それから、松岡農水大臣の松岡利勝新世紀政経懇話会、三千三百五十九万円余りを計上しております。それから、中川昭一自民党政調会長の昭友会、三千九十六万円余りを事務所経費として計上をしております。

 大臣に見解をお伺いしたいんですが、この賃料が要らない議員会館を主たる事務所としているこの三つの政治団体が三千万から四千万円事務所経費を計上している、こういうことが国民の理解を得られるとお考えでしょうか。

 菅義偉総務大臣 ご指摘をいただいた団体について、総務省としては具体的な事実関係を承知する立場にありませんので答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

支出根拠なし

 井上議員 私は国民から見て大変疑問だと思うんですね。新聞報道の中でインタビューをされておりますが、この伊吹文部科学大臣の秘書はインタビューの中で、議員会館以外に東京、京都の事務所の家賃で千五百万円、それから交通・通信費、印刷費なども月二百万円掛かると、こういうふうに新聞で述べております。

 そこで総務省にお聞きしますが、事務所費というのは、交通費は含まれないと思うんですけれどもいかがでしょうか。

 久元喜造政府参考人 政治資金規正法施行規則別記第七号様式の記載要領では、交通費が明示的にこの範囲、対象から除外しているという趣旨ではないと考えています。

 井上議員 しかし、事務所の維持に通常必要とされる経常費に交通費が入るのかと疑問なんですね。しかも、ほかの政治活動費というのがちゃんとあり、その中に組織活動とかは計上されるようになっているんです。ですから、その事務所費の中にこういうことがあるというのは、私は国民の目から見て大変疑問だと思うんですね。

 逆に言えば、今明示もされていないわけですから、明確な支出根拠がないということだと思うんです。私は、こういう不明瞭(めいりょう)な支出は疑念を深めるばかりでありますし、松岡大臣の事務所に至っては、内訳は報告の必要がないので控えさせていただくということでコメントを出していないわけですね。

 私は国民の信頼を得るためにも、この法一二条の二号に規定する事務所費を含む経常経費も領収書の写しを添付して透明性を高めるべきではないかと思いますが。

 菅大臣 経常経費は、人件費に光熱水費、さらに備品・消耗品費および事務所費の四項目。その明細を逐一報告させ、またその領収書の添付を義務付けるということは政治団体側に過大な事務負担となる。いずれにせよ、今委員からご指摘のありました点に関しましては政治活動の在り方とも関連をしてまいりますので、政治団体側の負担の問題、そういうことを考えて、やはり各党会派のご議論をいただいて結論を得る問題であるというふうに思っています。

前向きの決意を

 井上議員 今、政治団体の事務負担のことも言われました。金額をどうするかとか、それはいろんなやり方があると思うんです。しかし、これで本当にガラス張りなんだろうか、こういう国民の厳しい目がある中、私はできる限りの透明度を高めることが必要だと思うんです。政治と金を担当する大臣としてもっと前向きの決意なりが必要かと思います。


事務所費を多額に計上している議員

 伊吹文明文部科学相 4146万円

 松岡利勝農水相 3359万円

 中川昭一政調会長 3096万円

 鈴木俊一元環境相 3012万円

 金田勝年前外務副大臣 2849万円

 亀井静香国民新党代表代行 2418万円

 松本剛明民主党政調会長 1866万円

 武田良太衆院議員 1588万円

 江藤拓衆院議員 1487万円

 加納時男参院議員 1416万円


図

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