日本共産党

2002年11月28日(木)「しんぶん赤旗」

「創価学会用語」で被害拡大

「人間革命」→「マルチ革命」

「師弟不二」「異体同心」

八葉物流 田所名誉会長


 「マルチ革命を起こす」――。健康食品販売名目で約千五百億円を集め、破たんした全国八葉物流の詐欺事件で、逮捕された同社の名誉会長・田所収容疑者(68)は、こんな言葉をつかって会員をねずみ講同様のマルチ商法に駆り立てました。創価学会員(今年一月、除名)だった同容疑者は、創価学会をまねて八葉グループの組織をつくったほか、創価学会や池田大作名誉会長がひんぱんに使う言葉を多用していたのが特徴でした。


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警視庁に入る全国八葉物流名誉会長の田所収容疑者(中央)=27日午前10時24分、東京・霞が関

 「皆さん方は八葉の宝です。本当に真実、どんな障害が起ころうとも、永遠に絆(きずな)を断ち切るわけにはいかない『師弟不二』でありたいと願っております」

 八葉グループの「八葉新聞」昨年十二月一日号に掲載された田所容疑者の「指導語録」の一節です。「師弟不二」は“弟子”が“師匠”にしたがい一体となる意味で使われ、創価学会の池田名誉会長も学会員によく使う言葉。同容疑者は「異体同心」という言葉も多用していました。

 池田名誉会長がひんぱんに使う「人間革命」をもじった「マルチ革命」という言葉も多用し、グループの「八葉新聞」に小説「マルチ革命」を連載しました。会員には「マルチ革命、経済革命」という言葉を強調していました。

 田所容疑者は、八葉物流を全国十数のブロックにわけ「圏長(ゾーン長)」を置くなど、創価学会をまねて組織づくりをしました。「八葉」の名前も、創価学会がマークに使用している「八葉蓮華(れんげ)」からとったもの。八葉物流の被害は、学会の組織を利用して拡大したという特徴があります。

 田所容疑者は、八葉の幹部と会員に「カリスマ的指導力」(幹部会員)を持っていたといいます。「頭は会長で、あとはみんな手足だった」と元幹部。高級クラブで豪遊する田所容疑者は「おれは会社から(給料は)一銭ももらってない。会社の金はおれの金や」と話していたといいます。

 警視庁などの調べでは、八葉グループの使途不明金は約十九億一千万円にのぼります。

 創価学会は田所容疑者を今年一月下旬に除名。しかし、それは会員から八葉物流に問い合わせや苦情が殺到してから約一カ月後でした。


“真相解明を”

対策弁護団声明 

 八葉グループの元名誉会長・田所収容疑者らの逮捕をうけ、八葉物流被害対策東京弁護団(団長・宇都宮健児弁護士)は二十七日、「幹部の取り調べを通じて、事件の真相が解明され、五百億円を超えるといわれる、集めた金銭の使途など被害回復に直結する情報に期待する」などとする声明を出しました。

 声明は、八葉物流のシステムで他人に損失をおわせて不当な利得をえた人は「みずから進んで利得を破産管財人に返還するよう」求め、国に対して「同種大型詐欺被害事件の再発を防止するための措置」を早急に講じるように要請しています。


広く金集め一部に集中

 名誉会長田所収容疑者(68)ら幹部が詐欺容疑で逮捕された全国八葉物流の商法は、出資額によって「特約店」「代理店」「販社」「統括販社」などにランク分けされた会員が「販売利益」と呼ばれる配当や新会員の紹介料などを受け取るシステム。多くの会員は損害を受けましたが、四万八千人を超える会員の中には一億七千万円の利益を受け取った者もいました。警視庁生活経済課などは、上部会員数十人について、同容疑で書類送検します。

 内部資料などによると、次々に集められた四万八千五百七十二人の会員のうち、七千九百三十八人が利益を得ており、総額は二百七十一億円余り。約一億七千二百万円を最高に七人が一億円以上で、五千万円以上を得た会員も四十四人いました。高額配当は統括販社などの上位ランクの会員に集中しており、実態はピラミッド型のねずみ講組織でした。

 一方、被害額の最高は約四千三百万円で、一千万円以上の被害者は約百十人。ほとんどが販社や代理店という下位ランク会員。損害を受けた会員の九割以上は数十万円から五百万円未満の被害額で、幅広く集められた金が上位の一部に集中していました。


逮捕された14人

 八葉グループ名誉会長、田所収(68)▽同会長、佐々木次代(55)▽同副会長、三浦幸史(48)▽同副会長、山浦勝利(61)▽同経理部長、稲川歳洋(58)▽同財務局長、大城京美(36)▽同事務局長、岡本邦子(55)▽同沖縄本社経理責任者、稲福美智代(32)▽全国八葉物流社長、秋守敏博(56)▽八葉薬品社長、田中一嘉(35)▽八葉アカデミー社長、佐藤靖雄(58)▽イーハトヴコーポレーション代表、田所慎史(38)元八葉開発社長、米須清光(61)▽八音社長、坪谷博(57)

 


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