日本共産党

2002年11月28日(木)「しんぶん赤旗」

全国町村長大会 山本文男会長のあいさつ

地域社会、福祉、自然環境どうなる

合併強制は自治の危機


 二十七日におこなわれた全国町村長大会での山本文男会長(福岡県添田町長)のあいさつ(要旨)は次の通りです。


写真

あいさつする山本全国町村会会長=27日、東京・渋谷区

 私たちは今、スローガンを掲げた帽子を着用し、一同ここに参集しております。

 私たちに、日々、去来する思いは、合併がこのままの形で強行されていけば、また、人口が少ないということのみをもって町村の権限が制限・縮小されることになれば、地域社会はどうなってしまうのか、地域住民の福祉が守れるのか、自然環境や国土の保全ができるのか、といった言い知れぬ不安であり、憤りではないでしょうか。

 まさに、今、町村自治は存亡の危機にあるといえます。

合併特例法も自主性を標榜

 まず、合併の進め方と小規模市町村論についてであります。最近の国の政策は、あまりにも市場原理や財政効率の追求、さらに規模の拡大に重きを置き過ぎているように感じてなりません。合併問題は、地方自治の根幹にかかわり、住民生活にとって大きな影響を及ぼす最重要事項です。

 全国の町村は、歴史的な経緯や文化、風土がそれぞれ異なっており、合併の是非は何よりも関係町村の自主的な判断によって決定すべきです。分権型社会の理念は自己責任・自己決定ということであり、合併特例法自体も自主的合併を標榜(ひょうぼう)しているではありませんか。合併を強制することは絶対あってはならないと考えます。

 また、関係各方面で、一定の人口規模に満たない市町村の権限を制限・縮小したり、他の基礎的自治体へ自動編入する等町村の存立さえも否定する議論がなされております。このことは、地方自治の本旨、地方分権の理念に照らしても相反するものであり、今日まで町村が果たしてきた役割を全く評価せず、また明確な根拠も示さないまま、町村が小規模なるがゆえに能力がないと一方的に決めつけ、人口規模の小さい町村を切り捨てるといった横暴極まりなきもので、絶対に容認できません。

地方交付税の見直しは論外

 停滞を続ける経済による税収の落ち込み、累次の経済対策の実施等によって、町村の財政事情は一段と厳しさを増しております。しかも、過日提出された地方分権改革推進会議の意見では、三位一体で進められるべき改革が国庫補助負担金の廃止・縮減に言及しつつも、税源移譲による財源措置が明確に示されておらず、これでは単なる地方への負担転嫁であると言わざるをえません。

 とりわけ地方交付税は、税源の偏在による財政力の格差の是正や一定水準の行政サービスの確保をはかるために、必要不可欠です。最近における地方交付税の税源保障機能の見直し論など地方行財政運営の基本的な仕組みを認識しない論外な議論であり、地方交付税制度の持つ財政調整機能、財源保障機能を堅持し、必要な総額を確保することが、町村財政の今後の運営に最も重要と考えます。

 町村が、その役割を十分に果たせなくなれば、地域の発展はなく、国の発展もありません。その信念のもとに、今後とも一致団結して、山積する諸問題の解決に向け、国等に対し強力な要請活動を展開していかなければならないと考えております。

 


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp