日本共産党

2002年11月23日(土)「しんぶん赤旗」

強制労働の未払い賃金求める

シベリア抑留

国会前 政府の責任追及、座り込み


写真
「未払い賃金」の支払い求め、国会前に座り込むシベリア抑留者=22日、東京・永田町

 「最後の力と知恵をふりしぼって、世論と国会に元抑留者への補償と正義の回復を訴えたい」と、シベリア抑留の「未払い賃金」の支払いを求め、シベリア抑留者らが二十二日、国会前で座り込みをおこないました。

 「全国抑留者補償協議会」(全抑協、神林共弥会長)と「近畿地区シベリア抑留者未払い賃金要求の会」(緋田吉郎会長)が中心となり呼びかけたもの。「あくまで未払い賃金の支払いを求める」という統一要求のもと、全国各地から抑留体験者をはじめ約八十人が参加しました。

 底冷えする寒さのなか、「シベリア強制労働の賃金を払え」と書かれた横断幕をかかげ、座り込みました。抑留経験者と支援者、さらにこの行動を激励する各党の国会議員がかわるがわるマイクを握り、未払い賃金問題を早急に解決するよう訴えました。

 大阪からかけつけた寺前慶造さん(80)は、「いちばんくやしいのは、なぜわれわれが捨てられたのかということです。その責任を取ろうとしない、そこに怒りがあるんです」と語り、日本政府の責任で未払い賃金を支払うよう求めました。

 座り込み行動には、日本共産党の小沢和秋、藤木洋子両衆院議員、井上美代、宮本岳志、吉岡吉典の各参院議員があいさつし、参加者を激励しました。

 第二次世界大戦後、旧ソ連は、関東軍の日本兵など約六十万人をシベリアを中心とする地域に連行し、過酷な強制労働に従事させました。その結果、六万数千人がなくなりました。

 日本政府は、南方地域で米英の捕虜になった日本兵に対しては、個人計算カード(労働証明書)にもとづき賃金を支払いました。しかし、ソ連政府は抑留者に労働証明書を発行せず、日本政府も支払わないまま推移。この問題は、「戦後処理問題としても決着済み」としてきました。

 国際法上、捕虜として抑留された国で働いた賃金は、帰国時に証明書を持ち帰れば、その捕虜の所属国が支払うことになっています。

 ソ連崩壊後、ロシア政府は是正の措置をとり、九二年以後、労働証明書を発行するようになりました。ロシア側は、この労働証明書が政府の公式文書であることを認めています。

 今年三月には、小沢議員の国会質問で日本政府がソ連政府に代わって未払い賃金を支払う意思があったことを示す文書(四七年三月十八日付)の存在が明らかになり、シベリア抑留者の「未払い賃金」の支払いを求める運動にはずみがつきました。


市田書記局長が激励

 全国抑留者協議会の細川實副会長らは二十二日、シベリア抑留者にたいする未払い賃金の支払い問題について、日本共産党の市田忠義書記局長に支援を要請しました。

 戦後、ソ連に不当に抑留された人は六十万人以上ともいわれ、厳寒と飢え、重労働で多くの人が亡くなり、帰国した人も厳しい生活を強いられてきました。日本政府は、戦後処理はすべて解決ずみだとして賃金支払いに背を向けています。

 全抑協の代表らは「抑留の後遺症に苦しんでいる人もいる。老後の生活も厳しい」「抑留者の多くは八十歳をこえ高齢化している。一刻も早く救済を」と訴えました。

 市田氏は「抑留はポツダム宣言違反であり、国際法に照らして日本政府が賃金を支払うのは当然です。戦後、日本はGHQを通じて支払う意思を示したこともある。ソ連も労働証明書を出すことになったわけだから、日本もこたえて支払うべきです。人道問題でもあり党派を超えて支持したい」とのべました。

 代表から「抑留者がひとつになって運動をすすめていきたい」との発言が出たのにたいし、市田氏は「実態を知らせて世論にしていくことと、党派をこえて声をあげるよう国会議員に働きかけていくことが大切だと思います。私たちも国会の内外でとりあげていきたい」と激励しました。

 


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp