日本共産党

2002年11月16日(土)「しんぶん赤旗」

ナミビア産資源の取引を禁じた国連決議とは?


 〈問い〉 国連が取引を禁じていたナミビア産ウランを日本の電力会社が輸入したようですが、取引禁止にはどんな背景があったのですか。(愛知・一読者)

 〈答え〉 日本共産党の吉井英勝衆院議員は十月三十日の衆院内閣委員会で、電力各社の内部資料から、一九九〇年にナミビアが独立するまでの間、国連決議違反のナミビア産ウランを日本が輸入した疑惑を追及しました。政府は十一月六日、産地を隠ぺいする第三国経由取引の事実関係を確認しました。

 ドイツの植民地だったナミビアは第一次世界大戦で南アフリカに占領支配され、南アと同様の人種差別政策が導入されました。第二次世界大戦後、国際連合はナミビアを信託統治領としますが、併合をねらう南アは国連決定を拒否し、独立運動を武力で弾圧、先住人民らをホームランド(居留区)におしこめるなどアパルトヘイト(人種隔離)政策を強化しました。

 国連は六六年の総会でナミビアを直轄下に置くことを決議し南アに撤退を要求、七〇年の安保理決議は援助・投資を禁止しました。国連総会から独立までの立法権限などを委託された国連ナミビア理事会も、七四年に「ナミビアの天然資源に関する布告」を決議、同布告は▽ナミビアの資源を理事会の許可なく持ち出せないこと▽南アなどの許可は無効▽布告違反者は将来の独立政府に賠償責任を負うこと―などを定めました。

 ナミビア・ウランの購入契約を進めていた日本政府は布告への対応を問われ、七四年十二月十九日の国会で▽布告に強制力はないが拘束される▽国連に協力する政府方針に民間契約も協力してもらいたい―と答弁し、三木武夫首相も「方針として、国連決議に従って今後は処理する」と約束しました。

 しかし後に電力各社が八千トンのナミビア・ウランを輸入した疑惑がでています。核燃料物質の厳格な管理を求める国際基準からも、ウランの輸入割当や輸入許可を与えた通産省(当時)など、不法行為を許した政府の責任は重大です。

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 〔2002・11・16(土)〕

 


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