日本共産党

2002年11月9日(土)「しんぶん赤旗」

防衛庁 民間人から誓約書

「事故責任問いません」

自衛艦のインド洋派遣

業務命令で戦場へ 洋上修理も


 米軍支援の自衛艦インド洋派遣で、防衛庁は軍事産業の民間技術者を昨年十二月末からインド洋に派遣し、同庁は事故の責任を負わない旨の誓約書まで技術者に提出させていた――。八日の衆院安保委員会で、防衛庁は日本共産党の赤嶺政賢議員の追及にたいし、七月から十月の民間技術者のインド洋派遣を認めましたが、本紙の調べでさらにくわしい実態がわかりました。


写真
インド洋上で海上自衛隊の補給艦の「ときわ」(上)から給油を受ける米艦=米軍ホームページから

 防衛庁幹部や、艦艇を建造している軍事産業の関係者の話によると、軍事産業の技術者をインド洋に派遣する計画は昨年十一月段階から始まっていました。

 海上自衛隊の横須賀造修補給所では、十一月二十九日に「海外派遣に対する臨時修理態勢の確立の依頼」にかんする説明会を軍事産業担当者におこないました。人名や派遣先は秘密でしたが、関係者によると、軍事産業の技術者らを同十二月末から現地の港に派遣していました。

 今後、同庁は修理の場所を港内に限らず、安全性を確認したうえで洋上でも行うことになる、としています。

 また、業務命令で派遣された技術者は、現場で何が起きても防衛庁の責任を免除する誓約書まで書かされていました。この誓約書は防衛庁の書式にもとづいたもので、「乗艦申請書」のなかで、「事故など何が起きても責任を問いません」との趣旨の誓約をしていました。

 作戦中の艦船修理に対する民間技術者の派遣は、これまでリムパック(環太平洋合同軍事演習)など演習・訓練に限ってきました。しかし、ハイテク機器になるほど自衛官の技術レベルでは手に負えず、今年三月の東ティモールへのPKO派遣の際には、輸送艦「おおすみ」に搭載しているLCAC(エアクッション型上陸用舟艇)の修理で初めて紛争地に民間技術者を派遣しました。

 関係者によると、作戦中の艦船の修理については、「基本的には自衛官が修理するが、直せない場合は電話で技術者の指示を仰ぎ、それでも対処できない場合は技術者の派遣を要請する」といいます。技術者は軍事産業と防衛庁が取り交わした協定書にもとづき、「秘密業務従事者」の有資格者が業務命令の形で派遣されています。

 同庁は作戦区域の安全等の確認をして派遣を要請しますが、要請を受けるか受けないかは企業側が決めるべきことだ、としています。その一方で「購入した兵器の修理やそのための諸準備は、メーカーとしては当然のこと」として対応を迫ってきました。

 ある軍事産業の労働者は「これまでの修理は演習や訓練時をもとに行われており、戦場や紛争地派遣は想定していない。イラクとの戦争も現実味をおびているし、安全だというだけで業務命令で行かせられることに非常な不安を覚える。職場でも派遣対象者は秘密だから、いつの間にかいなくなったということもありうる」と語っています。

 


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp