日本共産党

2002年11月5日(火)「しんぶん赤旗」

21世紀の世界と日本の未来を縦横に

「再び『科学の目』を語る」で不破議長

赤旗まつり


マルクスの努力を現在に生かすには

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不破議長の講演「ふたたび『科学の目』を語る」を聞く会場いっぱいの参加者=4日、東京・江東区夢の島総合体育館

 不破さんは、「『科学の目』の大先輩マルクスの努力を現代に生かすには、その時代にマルクスが書きとめた結論だけをうのみにするのではなく、彼の探究の精神と鍛え上げた見方をつかむのが大事」と強調しました。

 そして、不破さん自身が雑誌『経済』への「マルクスと『資本論』」の連載と、首都圏の常任活動家三百人を対象にした「代々木『資本論』ゼミナール」を開いてきたことを紹介。この二つの仕事は、マルクスを歴史的に読むことで新しい発見の連続となったとのべ、「きょうは『資本論』そのものの講義をするわけではないが、そういう流れのなかの教室として、『資本論』の『科学の目』でみた世界と日本、世界の社会主義の問題を重点にしたい」とのべました。

資本主義信奉者もマルクスを指針に

 ソ連崩壊時に盛んだった「資本主義万歳」論はまったくかすみ、資本主義の信奉者たちのなかからもマルクスに資本主義分析の指針を求めようという声が出ています。

 ―今年一月のワシントン・ポストでは「この世界のどこかで次のマルクスが歩いている」という書き出しでクリントン政権の商務副次官がアメリカ覇権主義の横暴を告発。

 ―つづいて八月のイギリスの新聞フィナンシャル・タイムズでは、資本主義の信奉者を自称するオックスフォード大教授が「彼が十九世紀の資本主義について指摘した多くの欠陥が、今日においても明白に存在している」と指摘します。

 不破さんは「危機と矛盾の深刻さを考えるとき、資本主義の信奉者が期せずしてマルクスを指針としていることに、マルクスの『科学の目』が二十一世紀の世界を考える最大の指針となっていることのまぎれもない確証がある」とのべました。

社会主義の前途を考える

 不破さんは、社会主義の前途をどう考えるかの問題に話をすすめ、「社会主義をめざす国がどこからどこへ進もうとしているかの現実をよくみる必要がある」として、「短かったが大変有意義」だった今年八月の中国訪問から考えたことをいくつかの角度から紹介。レーニンの「新経済政策」をふりかえりつつ、そこから今日の問題として何を学ぶか、その点からみて中国の「社会主義市場経済」の方針と実情をどうとらえるかについてのべ、「市場経済を通じて社会主義へ」という方向は、将来の日本の社会発展の展望とも結びついていると指摘しました。

 最後に、「社会主義をめぐる一つの理論問題にふれたい」とのべた不破さんは、社会主義経済の特徴をなす「生産手段の社会化」について、マルクスが『資本論』でのべていたのは「結合された生産者たち」が主役となる経済であって、国有化しさえすればいいというものではなかったと指摘。その角度から旧ソ連の実態にもたちいった批判をくわえるとともに、現在の中国で、市場経済のるつぼのなかで新しい形態の公有企業が生まれつつあることを、「研究に値する」動きとして紹介しました。

 不破さんは、続いて、未来社会への将来の取り組みを青写真の図式でしばることをきびしくいましめたマルクスが、“社会主義、共産主義の経済法則が、自然発生的な力をもって社会に定着するまでには、長い時間がかかる”とのべていたことをふりかえり、二十一世紀の日本で未来社会をひらく道筋も、その時の情勢の要請と国民の要求にこたえる一歩一歩の前進を通じて切り開かれてゆくと語り、その過程での国民の英知と経験の結集が、その国の未来をきずいてゆくという発展的な展望をもつことの重要性を強調しました。

 不破さんは、資本主義と社会主義の前途を論じたその講義を、次の言葉で結びました。「『資本論』は、現代の資本主義を批判し分析するうえでも、二十一世紀の未来社会を考察するうえでも、二十一世紀を生きる指針たりうる書物です。そういうものとして、『資本論』に親しんでほしいと思います」

「とても新鮮」参加者が感想

 「いまの社会と未来を考える共産党の根本的理論を知りたかった」(東京・小平市の二十三歳のの男子学生)。二階席も立ち見となって聞き入った不破さんの「赤旗まつり教室」。『資本論』の今日的意味をわかりやすく語り、社会主義論を解明した不破さんの話に大きな反響がありました。

 横須賀市の男子学生(23)は「物事を冷静にみて、そのなかで新たな変化の本質をみていく不破さんの“科学の目”はすごいし、勉強になった。『資本論』をぜひ読んでみようと思います」とにっこり。

 埼玉・鶴ケ島市の森山理恵さん(26)=病院職員=は、「『資本論』が経済のことだけを分析したものでなく、マルクスの科学の目を示しているという不破さんの話がとても新鮮でした。“科学の目”の大切さをふまえて、まだ読んでいない『資本論』に挑戦しないとね」と語ります。

 「疑問がすとんと落ちて、すっきりした」というのは、新潟県三条市の高橋輝成さん(60)。「市場経済で試されて社会主義にいく、真の国有化は『生産者たちの結合体』という考えには非常に感銘を受けた。今日の話を地元に帰ったらしたいですね」と語りました。

 会場で寄せられた感想文にもぎっしり思いがつづられています。

 岩手県の五十二歳の男性は「『社会主義をめぐる一つの理論問題』は、とても興味をもちました。あらためてじっくりと『資本論』に挑戦する機会をつくりたい」。北海道からきた六十三歳の人は「世界の資本主義の矛盾、危機とアメリカ一極集中の問題との関連がよく理解できました」と感想をのべています。

 十八歳の男性はこう書きました。

 「科学の目をもって立ち向かい、『資本論』を読み直すならば、私たちが望む世界をつくっていける、変えていけるんだと勇気をもらいました」

 


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