日本共産党

2002年10月27日(日)「しんぶん赤旗」

カジノなぜ東京都が

刑法で厳禁の賭博


 東京都の石原慎太郎知事が、かねてから主張していたカジノ(賭博場)の解禁に向けて具体的に動き出しました。青少年への悪影響など問題だらけのギャンブルを“いまなぜ東京都で”と、強い批判が都民からあがっています。

景気対策??筋道違います

 地上二百二メートルにある都庁舎四十五階の展望室。一般都民の入場はシャットアウトし、酒を飲みながら三十九台のスロットマシン、ルーレット、ブラックジャックなど賭博ゲームに興じる人たち九百七十人で埋まりました。天井には目が回るようなカクテル光線…。

 都が東京商工会議所と共催で十七、十八両日夜、模擬体験イベントとして催した“都庁カジノ”の光景です。

 主催者の石原知事は、「新しい雇用、文化、財源確保の格好の材料と思う」とあいさつし、カジノゲームを体験しました。

 都庁カジノには鴻池祥肇防災担当大臣・構造改革特区担当、自民党国会議員でつくる「カジノと国際観光産業を考える会」の野田聖子会長(衆院議員)、大阪府や宮崎県の副知事、静岡県の熱海市長、三重県の鳥羽市長らが出席。自民党、民主党、公明党の都議も参加しました。

 日本共産党都議団は九月末、都庁カジノ中止を都に申し入れ、イベントへの招待を断りました。

 東京都が二日間のイベントで使った費用は九百五十万円。動員した都職員は、二日間でのべ四百人を超えました。

全国にも影響

 石原知事は就任直後に臨海副都心開発地域にカジノを誘致するというアイデアを打ちあげています。臨海副都心は、企業誘致をしても、この二年間で応募企業はわずか一社だけと不人気。この場所に、観光産業の目玉としてカジノを誘致し、都税収入を獲得しようというのです。

 都は今年度予算でカジノ調査費一千万円を計上。発表した調査結果では、年間三百―九百十億円のカジノ収益、七十三―二百二十一億円の税収が見込めるとしています。

 鉄鋼、ゼネコン、銀行など大企業でつくる日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)も二月にまとめた報告書で「カジノをも含む広域の複合観光事業を21世紀型都市再生プロジェクト」に位置づけるよう主張しました。

 小泉内閣の「構造改革特区」構想に便乗して、各地で「カジノ特区」をつくろうとしており、石原都政の動きは全国にも影響を与えることが必至です。

各方面が批判

 もともとカジノは、刑法などで厳しく禁止されている賭博です。「賭博場の開張」は三月以上五年以下の懲役です(刑法第一八六条二項)。組織としての東京都がカジノを行うとすれば、その刑罰は三月以上七年以下の懲役に加重されます。

 石原知事が推進するカジノ構想には、各方面から批判の声があがっています。新日本婦人の会都本部、東京母親大会連絡会、主婦連合会、東京都地域消費者団体連絡会、東京都地域婦人団体連盟、日本消費者連盟、臨海部開発問題を考える都民連絡会などが、カジノ反対を都に申し入れました。

 東京都教職員組合も都庁カジノの中止を求める見解を発表しています。

 日本共産党都議団は、石原知事のカジノ構想と都庁カジノに対し、青少年への悪影響、ギャンブル依存症と家庭破壊、暴力団の介在など社会的弊害を指摘、「景気対策として都民が求めているのは中小企業、産業振興であり、カジノに景気対策をゆだねるのは筋道が違う」と、厳しく批判しています。(岡部裕三記者)

 


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