2002年10月25日(金)「しんぶん赤旗」
雇用の女性差別撤廃の歴史に、新たな一ページが加わりました。
芝信用金庫(東京都港区)の男女昇格差別是正事件が最高裁で和解し、労働者側が勝利したのです。
今回の裁判では、女性の課長職への昇格とこれに伴う賃金差別の是正が争われました。一審の東京地裁は、女性差別事件で、昇格したものとして地位を認めた、はじめての判決として注目されました。
二審の高裁判決は、ひきつづき昇格した地位を認めるとともに、労働基準法を根拠に昇格差別による賃金差別は違法であると発展させました。こうした判断を不動のものとした最高裁での和解は、女性差別撤廃をめざしてたたかう人々への力強い励ましとなるでしょう。
女性にたいする昇格・昇進差別の是正を求めるたたかいは、ここ十数年の間に大きく広がり、国際的にも関心を集めています。
二〇〇一年八月の国連の人権規約委員会が、日本政府の報告を審査して発表した「最終見解」で、日本の女性差別に懸念を表明しているのも日本の女性たちの告発の反映です。
「最終見解」は次のように述べています。
「日本では同じ労働をしていても男女の賃金に事実上の不平等があること、また多くの企業では女性には専門的な仕事に昇進する機会がほとんどないという、雇用慣行が続いていることに懸念を有する」
実際、部長や支店長、工場長などの管理職に就いている女性の割合は、日本の場合、国際的に見ても極めて低い水準です。
ILO(国際労働機関)の調査によると、「管理職」に占める女性の割合は、アメリカが45%、カナダ35%、イギリス33%、ドイツ26%、イタリア19%にたいし、日本は9%にすぎません。十七カ国中、下から二番目です。(日本労働研究機構「データブック国際労働比較2002」から)
初任給が同じでも、昇格や昇進の違いで賃金格差が出来てしまい、年ごとに広がっていきます。日本の女性の平均賃金が、パートを除いても男性の約六割強にすぎないのは、国際的にも甚だしい昇格・昇進差別が存在することも大きな要因です。
女性の低賃金を改善するためには、昇格・昇進における女性差別の是正が大きな課題になっています。
国連の委員会の「最終見解」は、日本政府にたいし、男女の「事実上の賃金格差」問題へのとりくみを「強く要求」しています。
日本政府は、労働基準法を根拠に昇格差別とそれによる賃金差別は違法とさせた、今回の裁判の到達点を踏まえ、女性の賃金差別の是正にとりくむべきです。
男女平等の保障は、女性差別撤廃条約の採択などに象徴されるように、二十世紀の大きな流れです。
日本でも、はじめて結婚退職制度を無効とした一九六六年の住友セメント事件判決以来、女性差別是正の判断が司法の場で積み重ねられてきました。草の根のとりくみがつづいています。
今回の和解が、男女平等に新たな道を切り開くことは間違いありません。同時に、女性差別撤廃のたたかいは、日本の民主主義全体を発展させる力になるものです。
二十一世紀に、女性も男性も人間らしく、生きがいをもって働ける明るい職場を実現するための、大きな一歩となるよう期待します。