日本共産党

2002年10月24日(木)「しんぶん赤旗」

民間人搭乗で混乱

えひめ丸事件

米海軍認める


 昨年二月、ハワイ沖で愛媛県立宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」が米海軍の原子力潜水艦に衝突され沈没した事件で、遺族に対する米海軍の説明会が二十三日、東京都内の米軍施設でおこなわれました。米海軍側は「民間人がコントロール室にいたことが問題」とのべ、民間人の体験搭乗が事故の要因になったことを認めました。

 説明会は事故で亡くなった寺田祐介さん=当時(17)=、古谷利道さん=同(47)=の二遺族と、その委任を受けた「えひめ丸被害者弁護団」(豊田誠団長)が、原因究明と再発防止のために不可欠と要求していたもの。別の弁護団(畠山保雄団長)に委任していた遺族のうち一遺族と畠山弁護団長も出席しました。

 弁護団によると、説明会では遺族の質問に在日米海軍のチャプリン司令官が回答しました。

 そのなかでチャプリン司令官は、潜水艦のワドル艦長(当時)がソナーの分析や潜望鏡での確認などで規則に反し、定められた手順を踏まず、不十分な時間しかとらなかったことを事故原因として説明。同時に、多数の民間人がコントロール室に集中し「混乱させた」ことを認めました。しかし、事故後も体験搭乗が三十一回行われたことを明らかにしました。米海軍側は新たに作成した事故防止のマニュアルを遺族に手渡しました。

 説明会後に弁護団とともに記者会見した寺田祐介さんの母、真澄さんは「これまでの枠内での回答がほとんどで、釈然としないものが残った。しかし、コントロール室に民間人が集中していたことを要因としたのは一歩前進だと思う」。古谷さんの遺族は弁護団を通じて「まだ全容解明には不十分。ワドル前艦長の個人責任だけでなく、米海軍全体の責任をもっと重視すべきではないか」とコメントしました。

 


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