日本共産党

2002年10月19日(土)「しんぶん赤旗」

銀行への公的資金投入の仕組みは?


 〈問い〉 七十兆円の公的資金はどうやって銀行に投入されるのですか。(埼玉・一読者)

 〈答え〉 七十兆円の公的資金は、おもに、三つの目的に使われます。

 ひとつは、破たん銀行の債務超過などの「穴埋め」で、これは投入されたまま返ってこない、まるごと国の負担です。

 もう一つは、「不良債権」などの買い取りです。銀行が処理をすすめるよう、高めの価格で買い取っており、いずれ損失が表面化します。

 三つ目は、銀行への「資本注入」です。銀行が発行する株式などを買い取って、銀行の「自己資本」を増やしてやります。そのさい、銀行が体力をつけ、株などを買い戻して返済するという「経営健全化計画」を提出させたりしています。しかし計画どおり進まなければ、銀行に買い戻す義務はありません。日債銀への資本注入のように、注入先が破たんし株などが紙くずになる危険もあります。

 公的資金は今年六月までに三十兆円が“消化”されました。約九兆四千億円が「穴埋め」、約五兆円が「不良債権」買い取り、十兆円近くが「資本注入」となっています。

 これらの資金投入は、政府・日銀・民間銀行が共同出資して設立している、預金保険機構が仲介します。政府は、十三兆円までの交付国債枠と五十七兆円までの政府保証で、預金保険機構の資金を後押ししています。

 このうち、「穴埋め」などに使われるのが交付国債です。必要に応じて国が償還(現金化)することを約束した、無利子の特殊な国債で、償還した分は、国の財政負担となります。

 政府保証は、「不良債権」買いとりや「資本注入」に使われます。預金保険機構が日銀や民間銀行から借り入れたり、債券を発行したりして資金を調達するとき、政府が“保証人”になるものです。預金保険機構が返済できなくなると、政府が立て替えますが、それは国の財政支出となります。

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 〔2002・10・19(土)〕

 


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