日本共産党

2002年10月14日(月)「しんぶん赤旗」

「先制攻撃反対」米で広がる

宗教指導者51人が書簡

大学教員の署名も全国に


 【ワシントン12日浜谷浩司】米議会が対イラク武力行使容認決議を採択し、ブッシュ政権が戦争の火ぶたを切る危険が一段と強まるなかで、宗教者や学生をはじめ戦争に反対する米国内の世論が新たなうねりをみせています。

 「私たちは道徳的な理由から、米国がいまイラクに対して新たな軍事行動を起こすことには反対です」―プロテスタントとカトリックを含むキリスト教の指導者五十一人が十二日、ブッシュ大統領の姿勢を鋭く批判した同大統領あての公開書簡を発表しました。

 書簡は、戦争がイラク国民に多大な犠牲を強いることをはじめ、国際社会の意向に反するような一方的な武力行使は、米国の国益にならず中東情勢のいっそうの不安定化につながると指摘。とりわけ、ブッシュ政権が先制攻撃を正当化する議論を振りまいていることに強い警戒感を表明しています。

 さらに、「敵の政府を一方的に倒せば、諸国の領土保全と国際法を米国が尊重するのかに、他国の懸念を強める」と指摘し、「こうした行動は誤りだ」と批判しています。

 「戦争ではなく平和を追求し、武力で政府を倒すのではなく国際社会のために活動し、国際法を尊重する」――書簡はキリスト者の抱く価値をこのように挙げて政府にその実践を求め、全米教会会議(NCC)の事務局長ら広範な教会指導者が署名しています。

 署名参加者らはこの間、武力行使容認決議を採択しないよう求めて、議会に働きかけてきました。中心的な活動を担っている一人は、「イラク問題での議論は、議会決議で終わったのではなく、これから始まる」とワシントン・ポスト紙に語っています。

 対イラク先制攻撃に反対する運動は、一九六〇―七〇年代にベトナム戦争反対運動を経験した年齢層が大きな役割を果たしています。同時に、十一月三日にはボストンの大学で相当規模の反対集会が予定されるなど、学生をはじめとする青年の間にもしだいに広がりをみせています。

 大学教員が進めている対イラク戦争反対の署名は二万三千余が集まり、そのうち大学教員は一万一千を超えています。署名はミネソタ大学で九月下旬に開始され、インターネットを通じて急速に全米に広がっています。

 署名はイラク侵攻に反対する理由を、イラクと中東地域の不安定化をもたらす、国際的なコンセンサスが得られていない、ブッシュ政権のいうイラクの「脅威」には信じるに足る証拠が示されていない、国連憲章に照らして違法だ、と指摘。「教育者、学者」として、大学キャンパス内外での「深い議論」を呼びかけています。

 


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