日本共産党

2002年10月6日(日)「しんぶん赤旗」

イラク戦は国際法違反

米の法律専門家が議会に覚書


 【ワシントン4日坂口明】ブッシュ米政権が強行しようとしている対イラク武力行使は国連憲章に反し国際法違反だ――米国の国際法研究者らが、こう指摘する覚書を四日までに米議会に提出しました。

 覚書を作成したのはピーター・ワイス核政策法律家委員会会長、ジャクリーン・カバソ西部諸州法律財団事務局長、ジュールズ・ロベル・ピッツバーグ大学教授ら。

 覚書は、国連憲章が武力行使を認めているのは(1)加盟国への武力攻撃が発生した場合(2)安全保障理事会が容認した場合に限られるが、米国のイラク攻撃は、どちらにも該当しないと結論づけています。

 (1)について覚書は、国連憲章五十一条は武力行使の「発生」を自衛権行使の条件としていると指摘。それ以外に一八三七年の米英間のカロライン号事件以降、「予防的自衛」を認める議論もあるが、その場合も▽領土などへの攻撃が急迫▽自衛行動が緊急に必要▽自衛行動以外の代案が欠如▽自衛行動は侵入停止に必要な範囲に限定――の条件が必要だとされていると主張し、米国のイラク攻撃は、どれにも該当しないと述べています。

 また、ブッシュ政権が「政権交代」を武力行使の目的にするのは、「いかなる国の領土保全又は政治的独立に対する」武力行使をも禁止する憲章二条四項に違反すると述べています。

 さらに、同政権が自衛権を拡大解釈して「先制攻撃」を正当化するのは「国際法上の根拠がなく」、「武力行使を制約する現行の国連憲章体制を不安定化するだろう」と述べています。

 (2)について覚書は、湾岸戦争の停戦条件の実施を強制するための武力行使を容認する安保理決議は存在しないと指摘。ブッシュ政権が現在この種の新決議の採択を目指していること自体、そのような決議が現存しないことを同政権が認めたに等しいと述べています。

 


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