2002年9月27日(金)「しんぶん赤旗」
米国のブッシュ政権がイラク攻撃の構えを強めるなか、世界の宗教者から次々と反対の声があがっています。政府が攻撃に積極的な米英でも二十五日には全米キリスト倫理神学者百三人がイラクへの先制攻撃に反対する署名に賛同したことを明らかにしたのをはじめ、英国国教会の最高指導者、ケアリー・カンタベリー大主教がイラク攻撃はかえってテロを活気づけることになるとの警告を発しました。
【ワシントン25日遠藤誠二】全米のキリスト教倫理神学者百三人が、ブッシュ米政権の進めるイラクへの先制軍事攻撃に反対する署名に賛同。代表らは二十五日、ワシントン市内で記者会見を開きました。「ブッシュ政権はイラクへの先制攻撃を道徳の問題だと正当化しているが、間違いだ」と真っ向から批判しています。
二十五日の記者会見で、ハワード大学神学部のシェリル・サンダース教授は「政権指導部は、『彼ら(イラク)は悪、われわれは善』という単純な言いかたをしているが、分析が不十分で一方的。イラク攻撃が実行されれば、無実の人たちの命がまた失われる恐れがある」と米政権の戦争ごり押し路線を批判しています。
ジョージタウン大学のジョン・ランガン氏は「サダム・フセインが持つ大量破壊兵器」だけでなく、包括的な大量破壊兵器の廃絶を考えるべきだと主張。また「イラクへの攻撃は、西側諸国とイスラム世界の二つの文明の不和をさらに深める危険性があり、道徳的に誤りだ」と語り、攻撃自制を訴えました。