日本共産党

2002年9月25日(水)「しんぶん赤旗」

東電・原発損傷かくし

点検にまた不正当事者

榎本副社長らメンバーに

調査委のあり方問われる


写真

炉心隔壁の検査が始まった東電・福島第一原発

 東京電力が原子力発電所の損傷隠しとうその点検記録を作成していた問題で、内部告発で発覚した二十九件以外の原発記録の調査委員会(東電幹部八人、弁護士一人)のメンバーに、組織的不正に関与し、副社長を引責辞任する榎本聡明副社長(原子力本部長)、処分をうけた服部拓也原子力本部副本部長が技術顧問の名目で加わっていることが二十四日までにわかりました。

 同調査は、原子力安全・保安院が八月三十日付でだした指示で実施するもの。保安院は、二十九件以外の自主点検作業について「適切に実施されていたか、客観的証拠に基づき調査をおこなうこと。不正のおそれがある事案を発見したときはただちに原子力安全・保安院に連絡すること」を要請。これをうけ、東京電力は、ことし十二月と来年三月までにそれぞれ中間報告をまとめるとしています。

 東京電力の資料によると、同電力幹部八人のうち、榎本、服部両氏のほか、原子力副本部長を務めていた築舘勝利常務取締役、大出厚原子力管理部長の計四人が、組織的不正があったとされた関係部門から参加するという異常なもので、調査の公正さが揺らいでいます。

 すでに二十九件以外に柏崎刈羽、福島第一、福島第二の三原発で新たな損傷隠しが今月二十日に発覚しましたが、組織的不正に関与していた責任が問われた榎本氏(元柏崎刈羽原発所長)らにあえて内部調査を担当させる東京電力の調査のあり方がきびしく問われています。


福島第一原発4号機

自主点検に地元立ち会い

 原子炉の炉心隔壁(シュラウド)のひび割れの兆候などを国に報告しないままに運転していた東京電力福島第一原発(福島県双葉町、大熊町)4号機で、シュラウドの自主点検が二十四日、始まりました。経済産業省原子力安全・保安院の検査官のほか、県や地元町職員が立ち会う異例の監視態勢が取られました。

 一連のトラブル発覚後、東電がシュラウドを自主点検するのは初めてです。地元自治体の立ち会いは東電との安全協定に基づいて行われました。

 水中カメラを使ってシュラウド壁内部のひびの有無や劣化状況をチェックするほか、超音波による探傷検査も実施します。保安院からは同原発保安検査官事務所の渕上善弘所長らが立ち会いました。保安院の検査官は点検終了まで立ち会います。同原発4号機では、シュラウドのひび割れの兆候を国に報告しなかった疑いのほか、中性子を計測する炉心モニターハウジングにひびがあるのに「異常なし」と国に虚偽報告した疑いが持たれています。

 同日午前十一時四十五分から福島第二原発(福島県富岡町、楢葉町)2号機でもシュラウドの自主点検が始まり、保安院の検査官二人が現場を監視しました。

電力会社のデータ隠し

再発防止策案
保安院が提出

 電力会社の原発検査データ隠しで、再発防止策を検討する経済産業相の諮問機関、総合資源エネルギー調査会の小委員会(委員長・近藤駿介東大教授)の第二回会合が二十四日午後開かれ、経産省原子力安全・保安院が再発防止策案を提出しました。

 再発防止策案では(1)安全確保の一義的な責任は事業者にあることをはっきりさせ、自主点検を明確に位置づける(2)事業者に実効性ある品質保証体制の整備や運用を求め、国が監査する(3)組織的な不正には厳罰で臨む(4)年月を経た設備の基準を整備するとともに、技術基準とその運用からできる限りあいまいさを排除する―ことなどを求めています。

 


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